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小説:余命宣告 [余命宣告]

12月27日


「ねぇ。
 はるかさん」


俺は、はるかさんにどうしても聞きたい事があった。


「なぁに?
 亜金君」

「はるかさんは、どうして俺を助けたの?」

「……前に話したじゃん。
 亜金君のお父さんとお母さんが、自殺したのは私にも原因があるって……」

「俺の父さんと母さんが亡くなったのは、妹が自殺したのが、原因なんだよ」

「……」


はるかさんは、じっと俺の顔を見た。


「その妹さんの自殺……
 うんん。
 美奈の自殺、止められなかったのは私なんだ……」

「どういうこと?」


はるかさんは、ゆっくりと口を開いた。


「ずっと美奈から相談を受けていたの。
 美奈の彼氏の事、そして美奈の彼氏を寝取った友達の事も知ってるの」

「……」


俺は、黙ってはるかさんの話を聞いた。


「美奈は、ずっと泣いていたの。
 美奈が自殺する寸前、私の所にメールが来たの。
 『今から死にます。
  お兄ちゃんの事をよろしく』って……
 私、その時、仕事が忙しくて、美奈に構ってあげる事が出来なかった。
 もしも、あの時、私が、美奈の所に駆けつけていれば、美奈は死ななくて済んだかもしれないの!」


はるかさんは、そう言って涙を流した。
俺は、ゆっくりとはるかさんの体を抱きしめた。


「はるかさんは、悪くない」


ただ、一言だけ俺は言いました。
他の言葉なんて浮かばない。
なんて言ったらいいかわからない。

俺は、ただはるかさんの体を抱きしめる事しか出来なかった。



では、明日へ続きます。

※この物語は、フィクションです。
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