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ニートライター亜金の事件簿~フィナーレ [ニートライター亜金の事件簿]

渡された一枚の紙。

その地図に従い、電車に乗りバスに乗り、警察病院にやって来た。

花を持ちながら電車に乗ったりバスに乗ったりするのは正直恥ずかしかったけど……

とりあえず、地図に記された警察病院にやって来た。


病室は、〇×△号室。


個室だ。


静かな部屋だった。

静かな空間。


俺は、ゆっくりとその部屋の扉を開けた。


誰も居なかった。

懐かしい香りがした。


その香りをかいだだけで、何故だか涙が溢れた。


そして、懐かしい声が俺の耳に入ってくる……


「……マダオ」


温かい感触が優しく俺の背中を刺激する。


「……直美ちゃん?
 どうして……?」

「私……
 気がついたらここに居たの。
 マダオと連絡を取りたかったけど、警察の人が外と連絡は、一切とってはダメだって言われて……」

「……死んでなかったの?」

「……うん」


直美ちゃんが、俺の背中を強く抱きしめる。


「顔見ても良い?」

「ダメ。
 今、私、泣いているだから……」

「……そっか」

「マダオも泣いているね。
 顔を見なくてもわかるよ」

「うん」

「直美ちゃん。
 俺と結婚して下さい」

「バカ……
 このタイミングで言うかな?普通……」


直美ちゃんが、クスクスと笑う。

後で聞いた話だけど、直美ちゃんが橘勤に接触するその前、亜銀によって先に助け出され……
そして、亜銀のドップルゲンガーの能力により直美ちゃんの分身を作ったらしい。
橘勤は、そのドップルゲンガー(人形)を殺し、直美ちゃんを殺した気になっていた。

外と連絡をとらなかったのは、それが橘勤に見つかると色々面倒なことになるかららしい。

でも、そんなことはどうでもいい。

直美ちゃんは、生きていた。

ただ、それだけで嬉しかった。

そして、お礼を言いたかった。


「ありがとう」


直美ちゃんがクスクスと笑った。

ただ、それだけで、幸せだった。


-完-

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