まっしろなティスタメント

2012年06月02日


俺は、ゆっくりと目を開けた。
見知らぬ白い天井が、見えた。

そして、突然の吐き気が俺を襲う。


「ここは、何処だ……？」


俺は、小さく呟くと女の子の声が俺の耳に入ってくる。


「病院」

「美穂……？
　死んでいなかったのか？」


美穂は、てっきり俺よりも先に自殺しているのかと思った。
美穂は、俺の顔を見るとボロボロと涙を零した。


「どうした？
　どうしてないているんだ？」

「バカ……
　自殺をするなんてバカだよ……」

「……そうだな」

「死ななくてよかった……」


美穂は、そう言って涙を流しながらニッコリと笑った。


「美穂も死ななくてよかった」

「どうして死のうと思ったの？」

「眠かったんだよ」

「眠い？」

「生きると言うことに疲れて、睡眠薬とアルコールで永眠したかった」

「眠った感想は？」


美穂が、苦笑いを浮かべる。


「頭が痛い」

「それが、代償だ……」


美穂の口調が冷たい。


「怒ってる？」

「当たり前だ」

「……すまない」

「眠い（辛い）のは、誰だって一緒！
　みんな、足掻いている！
　必死でもがいているんだ！
　なのに！なのに！貴方は！」

「さっきも言っただろ？
　眠かったんだ。
　足掻く場所も。
　もがく場所も。
　どこにもないんだよ。
　疲れたんだよ……」

「それでも……！」

「みんな苦しいのは、知っている。
　だけど、俺が苦しい事は誰も知らないだろ？」

「……私は？」

「例え、美穂が、知っていたとしても……
　俺が、君がそれを知っているかどうか……
　それすらわからない」

「バカ！」

「バカでいいよ」

「じゃ、大バカだ」

「自分だって、自殺をしようとしたくせに」


美穂は静かに俺を睨んだ。


「もし、自殺すると言うのなら私が貴方を殺します」


美穂の声は、咎っていた。