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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年07月22日


今日も暑い。
俺は、萌ちゃんの病室に向かった。

萌ちゃんは、相変わらずベッドの上で騒いでいる。
ホント元気だな……

もう28歳なのに、あの元気。
俺も見習わなくちゃ。


そして、一瞬固まる。


「どうしました?
 胸、痛みますか?」


銘先生が、心配そうに萌ちゃんに尋ねる。


「大丈夫だよー」


萌ちゃんは、そう笑うと俺の方を見た。


「私、いちごミルク飲みたい」

「んじゃ、売店で買ってくるっす」


太郎が、そう言うと萌ちゃんは、太郎の手を握り締めた。
なんか、前にもこんなことがあったような……


「いいよ。
 俺が買ってくる。
 銘先生、ちと付き合ってください」

「はい」


俺と銘先生は、病室を出た。
病室から、萌ちゃんのすすり泣く声が聞こえた。
少し遠回りをして売店へと向かった。


「萌さん、もうすぐ麻酔医が来て注射をするんだ。
 それまでに、いちごミルク届けてあげましょ」

「そうだな……
 でも、太郎と二人きりにさせてあげたい気もする……」

「難しいよね……」


そんな話をしながら、売店に向かいいちごミルクを買い萌ちゃんが居る病室へと戻った。

俺が、ドアに手を当てるとこんな声が聞こえてきた。


「怖いよ……
 ヤダよ……」


それは、きっと心の奥まで見せる事が出来る太郎だけへの弱音だろう。

銘先生のスカートを引っ張る小さな男の子と女の子。
瓜君と桃ちゃんだ。


「お母さんの病気治る?」


瓜君が、銘先生の目をじっと見る。
銘先生は、瓜君の目線に合わせて答えた。


「お姉ちゃん、全力を尽くすから!」


銘先生は、そう言ってニッコリと笑った。
銘先生、手術頑張ってくださいね。
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