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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年08月28日


火曜日。

美穂の機嫌が悪い。


「私、亜金とホテルでご飯なんて連れて行ってもらったことない」

「俺は、奢ってもらっただけで……」

「私、亜金とドライブなんて行ったことない」

「運転は、ゆかりさんだったし……」

「亜金、情けない!」

「ご、ごめんなさい」

「それに、私、亜金ときちんとデートしたことない!」

「それは……」

「今度は、私の番だよ?」

「え?」

「私ともデートして!」

「でも、俺と美穂は、恋人じゃないんじゃ……」

「違うの?
 一緒に住んでたのに……?」


うん。
やっぱりこの子、美穂じゃない。
でも、違うのなら美穂の振りをする理由がわからない。
なら、合わせるか……
どうせ、俺の命は、あと少しで終わるんだ。


俺は、美穂の抱きしめる。


「じゃ、恋人らしいことをするか?」

「恋人らしいこと?
 何するの?」


何するんだろう。


「エッチとか?」

「でも、亜金は、童貞なんだよね?」

「うん」

「早く童貞捨てたいからエッチするの?」

「そうじゃない。
 死ぬ前に捨てたいだけだよ。
 人間として産まれたんだ。
 せめて、人間と認めてもらえる行動をやりたいだけ」


俺を騙そうとしているのなら少しきつめの言葉を言っても構わないだろう。


「そう言う理由なら、亜金とはエッチしない」

「そうか……」

「亜金は、私とエッチするのを目標に生きるの!」

「え?」

「そしたら、亜金は、1日でも長く生きれるし私は、1日でも多く亜金と一緒に居入れる。
 一石二鳥!うん!我ながらいい考えだ!」


美穂は、そう言って頷く。


「そうか……」


俺は、残念のようなそうでないような……
結局誰も俺を人とは、見てくれないのか……
人とエッチすることが、自分が人である証拠だと思っていた。
だけど、俺は、それが出来ない。

つまり、それは、俺は人ではないと言うことなのだ。


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