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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年08月29日


水曜日。
曇天。

雨が降ったり止んだり……


今日は、そんな天気だ。


すっきりしない。


ゆかりさんが、俺の部屋に訪れる。


「亜金君、こんにちは」

「ゆかりさんこんにちわ」

「今日は、お話があって来たんだ」

「何かな?」

「私、明後日退院する」

「え?」

「小十郎さんも逮捕されたし、私の体も、もう大丈夫みたいだから……」

「そうですか……」


ゆかりさんに元気が無い。


「それでね、私、実家へ帰ろうと思うの」

「そうですか……」

「私の実家、北海道なんだ」

「北海道?」

「うん」

「だから、もうここには、簡単には来れないんだ」

「そうですか……
 寂しくなるな……」

「今までありがとうございました」


ゆかりさんは、軽く頭を下げる。


「こちらこそ、ありがとうございました」


俺も軽く頭を下げる。


「ホント、ありがとうね……」


ゆかりさんが、ボロボロと涙を流す。


「そんな、今生の別れって訳じゃないんだから……
 泣かないでください」

「亜金君、私のせいで殴られてばっかだったよね……
 ホントにごめんね……」

「大丈夫です……
 殴られた傷は、もう治りましたから……」


ゆかりさんが、俺の顔に近づく。
そして、唇と唇が当たろうとする。
キスするのか?


俺の目が一瞬動揺する。

そして、ゆかりさんは、キスをした。
俺の額にに。


「亜金君の唇は、美穂ちゃん専用だもんね。
 私は、我慢するね」


ゆかりさんは、そう言って泣き笑いを浮かべた。
俺は、ゆかりさんに何が出来るのだろうか?

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