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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年09月11日


今日も曇天。
美穂も子供たちもいない。

と言うか流石に愛ちゃんとどんな顔をして会えばいいかわかんない。


2度目だからね。


まぁ、まだ何をしているかは、理解できない歳だろうけど……
でも、気まずい。


部屋をノックする音が聞こえる。


「はい」

「血圧を計りに来ました」


千代田さんが、そう言って部屋に入って来た。


「千代田さん、こんばんは」

「なんか、退屈そうね」

「病院なんて、退屈な世界ですよ」

「スピードラーニング貸そうか?」

「なんですかそれ?」

「知らない?
 『英語がどんどん好きになる!
  音楽を聴くように英語を聞き流すだけ!』
 が、キャッチフレーズのスピードラーニング知らない?」

「なんか聞いたことあるような……
 で、効果あったんですか?」

「私、重要なことに気付いたの」

「なんですか?」

「私、音楽聞かないのよ。
 だから、結局3日と持たなかったわ……」

「そうですか……」

「亜金君も聴いてみない?」

「いや、いらないです……」

「そう、亜金君英語が出来たら、今後役に立つと思ったんだけど……」


千代田さんは、寂しそうに血圧を計ってくれた。


「130の80ね……
 血圧は、安定してるわね」

「ですね。
 薬の効果もあるんでしょうね」

「そうね。
 食事も栄養バランスが取れているし、いい調子よ」

「退院は、いつできますか?」

「それは、私には何とも言えないわ」

「そうですか……」

「ごめんね」

「今度、銘先生に聞いてみます」

「うん」


千代田さんは、頷くと部屋を出た。

はぁ、また暇になったな……


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