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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年09月29日


今日は、母の誕生日。
一応、おめでとうのメールを送ったけど返事は無い。


山本さんの体調が悪化した。

俺と美穂は、恵子さんに呼ばれ、山本さんの部屋に向かった。


「山本さん?」


山本さんは、返事をしない。


「耳だけは、最後まで聞こえるみたいだから、話しかけてあげて下さい……」


恵子さんが、涙目で俺に言った。


「はい……」


俺と美穂は頷いた。


「山本さん、俺、山本さんに教えてもらったたこ焼きで、この病院の子供たちの笑顔を護ります」


山本さんの指が、ピクリと動く。

聞こえてるんですね……
届いているんですね……


俺は、さらに話し続けた。


「俺、頑張っていきますから、山本さんも生きて下さい!」


俺の目から、自然と涙が零れた。


「お父さん!」


夢叶さんが、荷物を持ったままこの病室に入って来た。
涙をボロボロと零している。


「お父さん、私帰って来たよ!」


夢叶さんが、そう言うと山本さんは、目をうっすらと開ける。
そして、目が一瞬だけ笑う。


「おかえり」


山本さんは、そう言って一呼吸空気を吸うと逝ってしまった。
機械音だけがその部屋に鳴り響く。


銘先生が、涙をこらえながら皆に山本さんの臨終の報告をした。


夢叶さんと恵子さんは、その場で泣き崩れ。
美穂も涙をこぼした。


俺は、泣いているのかな……
それさえもわからない。

ただ、自分が犯した自殺と言う行為。
それの重さがずっしりと俺にのしかかる。

山本さん、俺は生きるよ……
俺は、山本さん、俺は生きるよ。

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