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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年09月30日


今日で、9月が終わる。
その終わりは、雨で締めくくられる。

今日は、山本さんのお通夜がある。
死とは、何だろうか?

萌ちゃんの時にも思ったけれど、山本さんは、物凄く俺に良くしてくれた。
だから、山本さんへの感謝の気持ちでいっぱいだ。


俺は、これからどう生きるべきなのだろう?


病院は、変わらずいつもと同じ静けさと看護師さんが忙しそうにしている光景が眼に映る。
俺は、いつも山本さんが座っていたベンチを傘をさして、じっと見つめた。


「亜金……
 風邪引くよ」

「うん」

「今日は、寒いね」

「うん」


美穂の言葉が耳に入ってこない。


「亜金……」

「ん?」

「子供たちも元気がない見たい」

「そうだろうな。
 山本さん、子供たちにも人気があったしね」

「うん。
 山本さんとの約束覚えている?」

「約束?」

「子供たちの笑顔を護るって約束したでしょ?」

「そうだな……」

「だったら、護らなくちゃ」

「え?」

「護るんでしょ?
 子供たちの笑顔……」


山本さんとの約束……
そうだな……
護らなくちゃいけないよな。


俺は、大きく息を吸い込んだ。


「俺、明日のお葬式でたこ焼きを作るよ!」

「うん!」

「外出許可は……」

「うん!
 一緒に取りに行こう!」


俺たちは、外出許可を貰った。
そして、調理室で材料を用意した。

さぁ、頑張ってたこ焼きを作るぞ!

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