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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年10月09日


曇り。

朝、元太君が1人で俺の部屋を訪れる。


「どうした?
 今日は、院内学級はないのか?」

「黙っていたけどよー
 実は、俺、今日、退院なんだ」

「え?
 そうなの?
 お別れ会してないじゃないか……」

「お別れ会は、断ったんだー」

「どうして?」

「俺の家、この病院から離れてないから、毎日遊びに来るからよー」

「そっか……
 でも、それだと学校の友達が出来ないんじゃないのか?」

「友達は、この病院の中にいるし……
 今さら学校に行っても学校の友達なんで出来るわけないぞ」

「まぁ、きっかけがないと出来ないわな……」

「うん。
 盲腸で半年入院とか恥ずかしくて言えないし……」

「盲腸悪化していたんだろ?
 医療に関しては詳しくはないからわかんないけど、恥ずかしがることはないぞ」

「兄ちゃん、ありがとうな」

「え?」

「色々優しくしてくれて、俺らみんな感謝してる」

「どうしたの?
 急に……」

「兄ちゃんには、色々世話になったから……
 んじゃ、俺行くな!」


元太君は、寂しそうな表情を残しそのままその走って去った。


「病院内を走ってはいけません!」


でも、すぐに千代田さんに注意され、元太君は謝ったあと静かに歩いて俺の病室から離れた。


「亜金さん、血圧を計りに来ましたよ」

「あ、はい……」


俺は、ベッドに戻り横になった。


「血圧は、安定してますね」

「元太君、退院なんですね」

「はい」

「あの子、本当に盲腸なのですか?」

「それは、個人情報なので言えません」


千代田さんが、苦笑いを浮かべる。


「そっか……
 個人情報なら仕方がないですね……」


と言うことは、盲腸じゃないのか……
元太君、なんで隠しているんだろう。

そんなことを思った。
でも、もしかしたら本人も盲腸と思っているのかもしれない。
ただ、その場合、重い病気なんだろうな……
元太君のご両親が隠しているのかもしれない……

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