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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年10月14日


命というモノは、どうしてこんなに儚いのだろうか?
昨日の充君の手術は、成功とは言えなかった。

4時間の予定の手術は、12時間かかった。
12時間かかった結果……

充君の脊髄移植には、成功した。
みんな一安心した。
だけど、その後すぐに拒絶反応が現れ充君は、亡くなった。

さよならも言えない別れほど辛いモノはない。


それを知らされた、俺と美穂。
歩ちゃんと愛ちゃん、元太君は涙を流した。


「なんなんだよ!
 ドナーが見つかって助かるんじゃなかったのかよ!」


元太君が、銘先生の方を睨む。


「ごめんなさい……」


銘先生は、涙を流して謝った。
銘先生の責任ではないのは、わかっている。
それは、みんな解っている。
だけど、その悲しみは誰かにぶつけなければ気がすまなかったのだろう。


「みんな、悲しまないでくれ……」


充君のお父さんが、みんなに声を掛ける。


「でもよ……」


元太君が、充君のお父さんの方を見る。


「運命だったんだ……
 これは、あの子の運命だったんだよ。
 むしろ苦しまず逝けただけでも、充は幸せだったのかもしれない……」


俺は、言葉が出なかった。
充君は、言葉を続ける。


「だから、みんなも顔をあげて元気を出してください」


隼人君は、黙って空を見上げる。


外は、快晴。
いい天気だ。


「隼人!お前は、悲しくないのかよ!」


涙、ひとつ零さない隼人君に元太君が睨む。


「悲しいよ。
 でもね、もう泣かないと決めたんだ」


隼人君は、愛ちゃんの頭を撫でる。
俺の病室は、小さな泣き声だけが響いた。


「なんなんだよ……
 それ……」


元太君が、再び号泣した。

あまりにも悲しい日曜日。
突然の別れに俺たちは、悲しむことしかできなかった。

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