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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年10月19日


朝。
久しぶりの晴れ。


充君のことあってか、あれから歩ちゃんは来ていない。
隼人君と愛ちゃんは、無言だけど俺の部屋に朝と夕方は来ている。
元太君も来ていない。


「隼人君、歩ちゃんはどうしてる?」

「……自分の目で確かめてきたらいいよ」

「そうだな……
 今度授業をやってる時に、こっそりと見に行くか……」

「歩ちゃん授業には出てないよ?」


愛ちゃんは、小さな声で呟く。


「え?
 どっか、調子が悪いの?」

「うんん。
 怖いんだと思う」

「怖いって何が?」

「死ぬのが……」


愛ちゃんは、そう言って泣きそうな顔になる。


「病気、まだ治らないの……?」

「治ったら退院してるでしょ?」


隼人君が、即答する。


「そうだよな……」

「うん」

「手術成功しなかったのか……」

「歩ちゃん、元気に振る舞っているけど薬の副作用とかキツイ見たい……
 充君のことが、あってからさらに元気が無くなって病気も悪化……」

「そうか……」

「歩ちゃん、亜金さんのこと好きだから亜金さん、直接会ってきてあげてよ」

「え?」


隼人君のことばに俺の心が一瞬揺らぐ。


「うん。
 私もそう思う。
 こっそりと覗くなんて、ダメ……」

「そうだな……
 元太君は、どうしてるんだろう?」

「わかんない」


愛ちゃんが、寂しそうな表情で首を横に振る。


「そっか……」

「うん」

「今度、愛ちゃんの様子を見に行くか……」

「そうしてあげて」


彼方君が、そう言うとDSの電源を入れた。
歩ちゃん、大丈夫かな……
少し心配。


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