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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年10月24日


水曜 おはよう
何月何日 晴れー


今日、美穂は休暇を取り、外に出ようとことになった。
美穂曰く。


「亜金は、ずっと病院に居すぎ!
 もっと外に出なくちゃ!」


だそうだ……

そんな訳で、さっきまで近所の公園を美穂と散歩していた。


散歩の帰りに昼食の巻き寿司を買って帰った。
俺たちは、病室に戻ると巻寿司を食べ終えたころ、隼人君と愛ちゃんが部屋にやって来た。


「あ、亜金さん、帰ってきてる」


愛ちゃんが、嬉しそうに笑う。


「なに?
 どうした?」

「歩ちゃん、目を覚ましたよ」


愛ちゃんの一言で俺は、俺の心はぱっと明るくなる。


「亜金、お見舞い!」


美穂は、そう言うと俺たちは、速足で歩ちゃんの部屋に向かった。
歩ちゃんの体はチューブに繋がったままでうっすらと目が明いていた。


この前と違う。

稲穂さんも、辛そうな目で歩ちゃんを見ている。


「お兄さん……」


歩ちゃんの声が、今にも消えそうだ。


「ほら、亜金、何か喋って……」


美穂が、俺の背中を押す。


「えっと……」


俺は、戸惑う。
何を言ったらいいかが、わからない。


「亜金さん」


愛ちゃんが、そう言って、お寿司についていたワサビを俺に渡す。
愛ちゃん、これで俺に何をしろと……?


「ギャグだ!
 面白いギャグをやるのよ!」


美穂が、そう言ったので俺は一生懸命考えた。


「今日は、一段と冷えますね。
 わー。さびー」


沈黙する一同。
ただ、歩ちゃんだけが、ニッコリと笑ってくれた。


「お兄さん、変なのー」


ただ、その笑顔が心に穴をあけた。

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