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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2012年12月22日


「玉藻、イブイブイブだ!
 ケーキ買ってこい!」


俺は、ご主人様らしくメイドに命令する。


「誰にモノを言っている?」

「メイドであるお前に言っている。
 俺はお前のご主人様。
 偉いんだ……」


俺は、ご主人様なんだぞ。
偉いんだぞ。
そして、ほんの少しエロいんだぞ。


「お断りでございます。
 ご主人様」

「何故だ?
 ケーキくらいいいだろ?」

「ご主人様が、ケーキを食べないのであればケーキを買うのはよろしいですが……?」


玉藻の声が冷たい。
そして、怖い。

でも、俺は、負けられない……
負けられない勝負だってあるんだ!


「ケーキを買ってケーキを食べない。
 そんな馬鹿がどこにいる?」

「ここでございます……」


玉藻が、俺に指を向ける。


「俺が馬鹿だと?」

「そもそもイブイブイブってなんでございますか?」

「クリスマス・イブの前のイブの前のイブだから、イブイブイブだ」

「明日は?」

「イブイブ……」

「ご主人様は、馬鹿でございますでしょうか?」

「は?」

「クリスマス・イブの『イブ』とは、前日の意味ではございません。
 12月24日の夜のことを言うのです。
 昔は、日没をもって日付の変り目としていたのでございます。
 つまりクリスマス・イブは既にクリスマスなのでございます」

「……そんなん知らないもーん。
 俺は、ケーキが食べれればそれでいいのだー」

「ダメでございます」

「俺は、ご主人様なんだぞー」

「……で?」

「俺は、お前の雇い主なんだぞー」

「そうじゃなく……
 私は、いつまでメイドごっこをすればいいのだ?」

「え?」

「私は、亜金に雇われているのではなく……
 亡き国蔵様に雇われている……
 私の給与も国蔵様からだ……
 つまり、亜金のお爺様が、雇い主だ。
 亜金は、偉くない」

「スカートめくれろー」


俺は、そう言って玉藻のスカートに手を当てる。
するとその手を掴み一本背負いされた。

さらば、俺のクリスマス・イブイブイブ……
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