SSブログ

ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年01月12日


土曜日。
朝が来る。7時半……
目を覚まし朝食を食べる。


「今日は、早起きだな」


玉藻が、そう言って俺のコップに白湯を入れる。


「うん。
 今日は、病院に行く日なんだ」

「病院?」

「うん。
 そろそろ高血圧の薬が無くなる頃なんだ」

「そっか……
 まだ、手足の痺れと痛みは治らないのか?」

「うん。
 医者曰くどうにもならないらしい」

「そうか……」

「まぁ、あの病院には血圧を抑えるために行ってるからしゃーない」

「そうか……」


玉藻の表情が暗い。


「んじゃ、パンも食べた、薬も飲んだ。
 病院に行ってくる。
 んで、帰りに病院に寄って来る」

「帰りに病院?」

「うん。
 また違う病院。
 御幸から頼まれた仕事を受けに行ってくる」

「隼人君の依頼は?」

「まぁ、“一頭追うモノは二頭も得る”だよ」

「私の聞き間違いか?
 “二兎追うものは一兎も得ず”の間違いじゃないか?」

「だって、クライアントは兎じゃない人間だもん」

「そ、そうだな……」


玉藻は、何か言いたそうな顔をしていたけれど、俺はすぐに病院に向かった。
そして、10時前に診察を終え、薬を貰いそのまま病院へ……

夕貴さんの部屋をノックする。
するとノックが返ってくる。


扉を開ける。


キラキラした目の夕貴さんの目が俺を見た途端ガッカリした表情になる。
なんだろう。
この敗北感……


「会いに来たよ」

「……」


夕貴さんが、携帯を弄る。
そして、携帯を俺に見せる。


【あれは、アキンさんに言ったんじゃありません】

「えー。
 じゃ、俺にどうしてメモを渡したの?」


夕貴さんが、再び携帯を弄る。


【だって、直接渡すのは、恥ずかしいじゃないですか……】

「いいもーん。
 俺は、執念深いから退院するまで毎日来るからね」

「……」


夕貴さんの顔が、残念そうな表情を浮かべる。
なんだろう、この敗北感は……

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

俺だけなのでしょうか?とく子さん ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。