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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年02月17日

日曜日、曇り。

目が覚めると俺が居たのは白い天井に白いカーテン。
そして、白い壁に覆われた部屋だった。

簡単に言うと病院の部屋だ。


俺はゆっくりと体を起こす。


「亜金、起きたか……」


啓司が、そう言って部屋に入ってくる。
そして、啓司の後ろには、男の子と女の子が傍にいた。


「啓司か……?
 俺に何をした?
 その子たちは……?」

「まず順序に沿って質問に答えよう。
 俺はこの子に亜金と玉藻ちゃんの意識を飛ばすように指示した」


啓司は、そう言って男の子の頭をなでる。
そして、言葉を続ける。


「んで、この子たちは、お前の先輩。
 つまり特務捜査官のメンバーだ……
 俺は、この鳶(とび)に命令し、鳶の能力、ファイントにより亜金の意識を飛ばしてもらった」

「なんのために?」

「それは、この未来(みく)の能力、イフによりあのまま亜金と玉藻ちゃんが、あの場所に戻れば2人は確実に死んでいたからだ……」


そう言って、啓司は女の子の頭をなでる。


「玉藻は?」

「今は、夕貴さんと一緒に昼食を食べている」

「そうか……」


俺は、少し安心した。


「怒らないのか?」


啓司がきょとんとした表情で俺を見る。


「何を?」


俺は、ため息交じりに聞き返した。

「俺たちは、お前を……
 いや、なんでもない」


啓司は、あまりにも申し訳なさそうな顔をして謝るので、俺の中の怒りなんて吹き飛んだ。


「構わないさ。
 今、冷静になって考えれば、わかる。
 俺と玉藻だけではあの火蛾には、勝てない」

「火蛾?」


啓司が首をかしげる、


「あの放火犯の名前……
 自称だけど、火蛾 達磨って名乗ってた」

「そうか……
 捜査資料に加えておくよ」


啓司が、真面目な表情で頷いた。


「ああ……
 あの病院の被害は?」

「死者120人、負傷者3500人、行方不明者30人だ」

「凄い被害だね……」

「ああ……
 目的もわからない」

「たぶん、恋次を解放しないともっと酷いことになるってことだろう」

「だからと言って、恋次を奴らに返すことはできない」


啓司が、しっかりとした表情で俺を見る。


「俺も同感だ」


俺も頷いた。
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