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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年03月02日


土曜日。
俺にできることを考える。
考えた所で何もない。


俺は、何気なく河川敷に向かった。
河川敷に行くと太郎たちが、炊き出しをやっていた。


「あ、亜金さん。
 来てくれたんっすか?」


太郎が、俺に気付く。


「あ、亜金君、おはよう」


萌ちゃんが、ニッコリと笑う。
その表情は、何処か疲れている。


「萌ちゃん、疲れてない?」

「これくらいへっちゃら!
 瓜も桃も頑張っているんだし私だけ休んでなんかいられないよ」


萌ちゃんは、どう見ても疲れている。


「萌ちゃん、目を閉じて……」

「エッチなことしない?」


俺が、真面目な顔で言っているのに萌ちゃんは、俺を茶化す。


「しないから……」

「信じる!」


萌ちゃんは、目を閉じた。


「聖なる癒しの御手よ
 母なる大地の息吹よ
 願わくば我が前に横たわりしこの者をその大いなる慈悲にて救いたまえ。
 リザレクション!」


俺の手が薄く光じんわりと暖かくなる。
その手を萌ちゃんの頭に当てる。


「あー。
 あったかい……
 それでいて気持ちいい」


萌ちゃんが、嬉しそうに笑う。


「これ、いいでしょ?
 玉藻が疲れた時によくこうやって回復してあげてるんだー」

「へぇ。
 これは、なんというゲームの魔法?」

「スレイヤーズだよ。
 詠唱魔法だから、呪文を覚えるの苦労したよ」

「亜金君、昔から暗記苦手だったもんね」

「うん」


萌ちゃんのお顔色が見る見るよくなって行った。


「兄ちゃん、回復魔法のギフト能力しゃかえ?」


俺が、萌ちゃんの疲れを癒していると1人の老人に声をかけられた。


「いえ、どちらかと言うと俺は、補助系ギフト能力者なんです」

「そうか……」


老人は、ガッカリとした表情でため息をつく。


「どうしたんですか?」

「孫の熱が下がらんのじゃ……」


老人が、そう言うと涙を流す。


「私は、もう大丈夫だから、亜金君、お爺さんのお孫さんの所に行ってあげて」

「うん。
 わかった……」


俺は、頷いて老人の後についていった。

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