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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年03月08日


金曜日、晴れ。
夢ちゃんは、あの後、病院の集中治療室に行き、そして一命を取り留めた。
意識も無事回復し、俺は夢ちゃんの病室に向かった。


するとそこには、夕貴さんも居た。


「夕貴さん、どうしてここに?」


夕貴さんは、フィリップに文字を書く。


【女子会です】

「そっか……」


なんか、あるんだろうけど深くは聞かないでおこう。


「夢ちゃん、元気そうでよかった」

「運がよかっただけよ」


夢ちゃんが、冷たく言い放つ。


「でも、生きている……」

「そのうち、消しに来るわ……
 白銀さんにとって、私の事なんて……」


なんて、言葉をかけたらいいかわからない。
でも、これだけは、言える。


「あいつらが、夢ちゃんを消しに来ても俺が護る!」


決まった……
俺が、そう思った時、夢ちゃんではない、女の人の声が聞こえた。


「あら?中年の王子様なんて、迷惑ではなくて?」


俺が振り向くと、ゴシック・アンド・ロリータな綺麗な女の子が立っていた。


「風花!」


夢ちゃんが、目を丸くして驚く。


「夢……白銀様から直々にあなたの抹殺命令が出たわ……
 私の氷のギフトで、氷漬けになりなさい」


夢ちゃんが風花と呼ぶ女の子の周りの空気が凍る。
やばい。夕貴さんと夢ちゃんを護りながらなんて戦えないぞ。


「さぁ、私の氷の刃の餌食になりなさい」


風花ちゃんが、そう言って手を夢ちゃんの方に向けると、風花ちゃんの頭に上にボールが飛んできた。


「え?」


俺は、思わず声をあげた。


「え?」


風花ちゃんも同じだった。
するとそのボールは、風花ちゃんを包み込み風花ちゃんを小さなボールの中に閉じ込めた。
これ、俺は、知っている。

モンスターボールだ……


「病院では静かにしないといけないぞ」


王が、ため息交じりに言った。


「王……助かったよ」

「気にするな。
 俺は、俺でコレクションが増えて嬉しい限りだ。
 この女は、一生俺の言いなりになるからな」

「……」


俺は、冷たい目で王を見る。


「冗談だ、警察に渡すさ」

王が、静かに笑う。


「……うん」



王、冗談に聞こえなかったぞ……
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