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ピノの旅(小説) [ピノの旅]

――3月31日


「あ、あいつは……」


座来栖君が、驚きの声を上げる。
俺は、こいつを知っている。
こいつが、現れてしばらくしてから俺は、あの館に幽閉されるようになった。
そう、全ての始まりはこいつだった。

名前は、中川 圭。
数々の神族と魔族を滅ぼした男。


「水さん、ここは一旦引きませんか?」


中川は、そう言ってニッコリとほほ笑む。


「私に、この城を放棄しろと?
 これまで得た地位も名誉も全て捨てろと?」


水の声が、震えている。


「もう一度言います。
 ここは、一旦引きましょう。
 王は、笹鈴さんたちの死を望んではいません」

「く……」


水が舌打ちをする。
そして、武器を収めた。


「理解頂けて幸いです。
 王もお喜びになるでしょう」


中川は、そう言って笑うとEDを召喚した。
白い騎士の中川。

俺は、直感的に理解した。
中川のEDの強さは、今の自分が、束になっても勝てないことを……
それは、俺だけじゃない笹鈴さんや座来栖君も同じだった。


「ふふふふ……
 命拾いしまいたね。
 王が、笹鈴姫と亜金さんの死を望んでいたら……
 この場で、僕が貴方たちを殺していたでしょう」


中川は、そう言うとウェンディーネの肩に触れる。


「覚えておるがいい。
 笹鈴、次に会うときは、お前を殺す時だ!


水が、そう言うと中川は呪文を唱えると姿を消した、
空間転送魔法なのだろう。


「みんな無事か!」


清空さんと白銀さんにシエラさんが、俺たちが居た部屋にEDの状態で入って来る。


「今回は、引いてくれたよ……」


俺が、そう言うと全身の力が抜けた。


「今の巨大な魔力……
 誰だったんだい?」


白銀さんが尋ねる。
俺たちは、事情を説明した。
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