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かみさまのにっき [かみさまのにっき]

3月18日


日曜日。
だが、雨。


普段なら人であふれかえっている公園も僅かな人が入り交じる。
雨の中、楽器を奏でるモノがいる。


余は、ゆっくりとそのモノに近づく。


余は、この曲に聞き覚えがあった。


「この曲は、神の国のモノか?」

「……」


男は、何も答えない。
余は、この男の正体を神の目で見る。
しかし、見ることは出来なかった。
つまり、この男は、今の余よりも強いと言うことだ。


「何か用でもあるのか?」


男は、余を睨む。


「いや……
 いい曲だと思ってな。
 どこか懐かしい……」

「それは、そうだろう。
 これは、神の国の子守唄だからな」

「主は、何者だ」

「俺は、中川 圭(なかがわ けい)。
 まぁ、神族や魔族専門の殺し屋だ」

「その殺し屋が、余に何の用だ?」

「話しかけたのは、お前だろ?
 安心しろ、今は、お前とことを争う気はない」

「……そうか。
 なら、戦わないでいよう」

「やけに素直だな?」

「余は、学習した。
 この世には、余よりも強いモノが何人もいると言うことを。
 余は、知っている。
 主が、余よりも遥かに強いってこともな」

「賢明な判断だ」

「ところで、その楽器はなんだ?」

「これは、リュートだよ」

「聞きなれない楽器だな」

「まぁ、この国にはあまりない楽器だ」

「そうか……」



男は、無言で楽器をケースに入れる。


「赤の魔道士には気を付けるんだな」

「知っているのか?」

「……」


そして、何も語らずにその場から離れた。


中川圭。
余は、この名前を知っている。

僅か7歳で、魔王を倒した男だ。
下級の魔王ではなくかなり上級の魔王だ。

そして、勇者の名を手に入れた男だ。

戦うことを避けねばな。


※この物語は、フィクションです。


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