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かみさまのにっき [かみさまのにっき]

3月29日

木曜日。
余が天界へ戻るまで今日を入れて3日となった。

余は、荷物を整理していた。

インターフォンが鳴る。

誰だ?

余は、ドアを開けるとそこには、万桜が居た。


「なんだ、万桜か……」

「荷物整理手伝おうか?」

「いや……
 もうあらかた片付いている。
 そもそも余は、身一つで現世に来たからな……
 持って帰るモノは数少ない」

「そうなの?」

「ああ……」

「じゃ、これあげる」


万桜は、そう言ってチケットを2枚、余に渡した。


「なんだ?
 これは……?
 ひらかたパーク?」


余は、チケットに書かれた文字を読んだ。


「うん。
 明日で現世は、最後なんでしょ?」

「ああ」

「真由ちゃんと思い出を作って来なさい」

「……どうして、真由なんだ?」

「気づかないの?
 真由ちゃんの気持ち」

「わかっている。
 だが、余にかかわるとろくなことにはならんからな……
 余が、現世を去る時、皆の記憶を消そうかと思う」

「え……?」

「それが、一番だと思うからな」

「……」

「だから思い出なんて作っても……」

「それでも、今の真由ちゃんは、救われるわ。
 記憶は消せても思い出は消えないものだから……」

「まぁ、主がそこまで言うのなら行こう。
 世話をかけてすまないな」

「幼馴染のよしみよ」

「ありがとう」


余が、礼を言うと万桜は、ニッコリと笑った。


「どうした?」

「貴方、現世に来て変わったわね」

「そうか?」

「ええ。」
 優しくなったし、表情も豊かになった。
 いいことよ


真由のおかげかもな……

余は、ふとそんなことが頭をよぎった。


※この物語は、フィクションです。


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