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亜金友人帳 [亜金友人帳]

4月15日


この街に来てもう半月になる……
俺は、ゆっくりとノートを眺めた。

このノートは、小さいころにある女の子に貰ったモノだった。

小さいころのことなのであまり覚えてはいない。

ノートの表紙には、【友人帳】と書かれているだけで、中身は白紙だった。


長い間持ち歩いているのにも関わらず、ノートは汚れ1つない。
汚れを受け付けないのだ。


俺は、思うにこのノートも妖怪の一種なんだと思う。


妖怪には色んな妖怪がいる。


六花のように人見える妖怪。
人には見えない妖怪。

何も食べなくても生きていける妖怪も居れば……
何かを食べなければ生きれない妖怪もいる。


六花は、見た目は猫。
だけど、実際はすねこすりと言う妖怪で、憑りついた人間の足と足の間をくるくると周り歩きにくくする妖怪。
六花は、人を殺めたりする妖怪ではないけれど、中には人を殺める妖怪がいる。


だから、海藤君のような退治屋が生まれた訳なんだと思う。


見えないものが対象なので、妖怪が起訴されることはない。
その事件のほとんどが迷宮入りになるのだ。


俺は、そう言う事件には、関わらないようにしてきた。
これからも、妖怪とは出来るだけ関わらないようにしていきたい。

六花は、善妖怪なので、ずっと一緒に居たいと思う。
だけど、人を殺める悪妖怪との関係はごめんだ。


俺は、ノートを眺める。


このノートには何を書けばいいのだろうか?

昔、書いた落書きなどは自然に消えた。

何かのノートの代わりにはならない友人帳。

友人帳なのだから、名前を書けばいいのかと思い適当な芸能人の名前を書いたけど……
すぐに真っ白になった。


……この友人帳。


俺にどうしろと言うのだろう?
不思議と捨てたい気分にはなれなかった。

これを持つまでは、妖怪が沢山俺に悪戯を仕掛けてきた。
だけど、友人帳を持った途端、妖怪は俺に手出ししなくなった。

見えなくなった訳じゃない。

今でもはっきりと弱い妖怪ですら見える。

例えば、窓の外。


笹鈴さんと玉藻が、話をしている。

その笹鈴さんのスカートの中を覗いている助平な子鬼の妖怪がいる。
そう、小さい妖怪でも俺は、見ることが出来るんだ。

ぼーっと見ていると笹鈴さんが、足踏みをし始めた。

笹鈴さんの靴のカカトが、子鬼の頭に当たる。
鬼が居たそうにのた打ち回る。


なんか、楽しい。


※この物語は、フィクションです。

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