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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年07月06日


萌ちゃんの様子が心配なので、萌ちゃんの部屋に訪れる。
萌ちゃんの病室の中で2人の子供がちょこんと座っていた。
男の子と女の子2人とも幼稚園くらいだろうか?


「えっと、こんなところでどうしたのかな?」

「ママとパパが、大事なお話があるからここで待ってなさいって言われたの」


女の子が答えてくれる。


「パパとママ?
 もしかして、萌ちゃんと太郎の子供?」

「お兄さん誰?」


再び女の子、男の子の方は、しょんぼりして黙っている。


「えっと、知らないかも知れないけど君たちのパパとママの友達の亜金だよ」

「亜金さん……?」


男の子が、声を出す。


「うん」

「知ってるかも……」

「え?」

「写真で見たことあります」


女の子が答える。


「そっか……」

「僕、山田 瓜(やまだ うり)と言います。
 5歳です」


男の子が自己紹介してくれて、続いて女の子も言葉を続けてくれる。


「私は、山田 桃です。
 4歳です」

「瓜君に桃ちゃんだね。
 覚えたよ」

「お母さんの病気治るの?」


瓜君が、そう言ってじっと俺の目を見る。


「先生が、全力を尽くすって言っていたよ」

「……全力を尽くすってどういう意味?」

「頑張るってことだよ」


瓜君も桃ちゃんの表情が暗くなる。
子供ながらに感じているんだろう。
萌ちゃんの病気が重いってことを……

大丈夫。

そう言ってあげたかった。
だけど、それは出来なかった。
それは、言えない。
太郎から詳しい病状とか聞いて無いからわからない。
でも、萌ちゃんのあの怯えようからしてきっと症状は重いのだろう。


「あ、亜金さん、こんなところにいた」


千春ちゃんが、病室に入って来た。


「千春ちゃん?」

「点滴の時間ですよー」


俺は、そのまま千春ちゃんに手を引っ張られ病室に戻った。


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