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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年07月28日


深夜の夜。
病院内にサイレンが鳴り響く。


いつもの光景。
見慣れた光景のはずだった。
深夜の1時。
眠れぬ夜の出来事だった。


俺のスマホが鳴った。
発信者は太郎。


「もしもし。
 太郎、こんな時間にどうした?」

「萌さんが、意識を失って倒れたっす」


俺の頭の中が真っ白になる。


さっきの救急車のサイレンは、萌ちゃんの家に向かうモノだった。

夜が明け、朝が来る。
俺は、萌ちゃんの病室に向かった。
萌ちゃんの病室は、個室になっていた。


萌ちゃんは、静かに眠っている。


「亜金さん、来てくれたんっすね」

「ああ……」

「亜金さん、目の下にクマが出来ているっすよ?」


太郎が、苦笑いを浮かべる。


「ああ。
 眠れなくてな、お前も目が真っ赤で目の下にクマが出来ているぞ」

「自分も眠れなかったっす……」

「子供たちは、どうしている?」

「今、自宅で眠っているっす。
 子供たちも眠ってないっすからね……」


太郎は、苦笑いを浮かべ。
そして、すぐに涙を零した。


「太郎……」

「どうして萌さんが……
 どうして萌さんがこんな目に……」

「太郎、お前は泣くな」

「え?」

「お前には子供たちがいる。
 お前は子供を護る義務がある。
 なのに親のお前が、そんなんでどうする?」

「そうっすね……
 でも、自分、亜金さんのように強くは、なれないっす……」

「俺は、強くはない……」


そう強くなんてない。
俺は、誰よりも弱い。

俺は、ため息をつくとゆっくりと缶ジュースを太郎に渡した。


「ありがとうっす」


太郎は、俺から缶ジュースを受け取るとふたを開け一気に喉に流し込んだ。
太郎……
堪えろよ。耐えろよ。
今にきっと萌ちゃんが、良くなるからな!


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