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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年08月02日


今日も暑い。
蝉も朝と夕方だけ鳴いている。


流石の蝉も昼間は暑いからダウンしているのか?


なんて、バカなことを考えていると、はるか先生が、俺の病室に入って来た。
これは、珍しい。
とっても珍しい。


「はるか先生?
 どうしたんですか?」

「実は、これから子供たちとピクニックに行くんです。
 良かったら、貴方もどうですか?」

「えっと……
 いいんですか?俺なんかが参加しても……」

「来てくれると子供たちも喜びます」

「そうですか……
 なら、参加しようかな」

「ありがとうございます。
 では、出発は、10時からですので、準備が出来たらロビーに来て下さい」

「はい」

「あ……おやつは、500円までです!」

「先生!タバコは、おやつに含まれますか?」

「禁煙です。
 って、タバコ、お吸いになられるんですか?」

「いえ、吸わないです」


俺が、そう言うとはるか先生は、クスっと笑った。
俺は、はるか先生のこういう顔って初めて見たかもしれない。


「あら、楽しそうな相談ね」


ゆかりさんが、そう言って俺の部屋に入ってくる。


「あ、こんにちは。
 いつも子供たちがお世話になってます」


はるか先生が、軽く頭を下げた。


「いえいえ、こちらこそ……」


ゆかりさんも軽く頭を下げる。
ふたりは、知り合いっぽいね。


「よかったら、ゆかりさんも行きませんか?」


俺は、そんなことを口に出してしまった。


「ごめんね。
 私、こんなお腹だからピクニックにはいけないなぁー」

「あ……
 そうですね……」

「その代り、土産話沢山してね!」


ゆかりさんは、ニッコリと微笑むと部屋を出て行った。


「何しに来たんだろ……?」


俺が、小さくぼやくと、はるか先生が、小さく呟く。


「みんな、貴方のことを心配しているんですよ」


あぁ……
そうか、萌ちゃんの件のことを心配してくれているのか……
俺は、この日、日が暮れるまで子供たちとピクニックを楽しんだ。


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