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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年08月07日


今日は、父の誕生日。
一応、メール入れといた。
返事来ないだろうけど……


俺は、両親とケンカして家を出た。
大学を卒業したものの資格なんて何もなかった。

仕事なんてもちろんない。


あの頃、俺は1人で公園のベンチに座って絶望していた。
東京に行って富士の樹海にまで行って自殺するか……

でも、まだ、死にたくないな……

そんなことを思っているとき、俺は美穂と出会った。


「何びびっているんだ?」


振り向くと見知らぬ綺麗な女性。


「えっと……
 貴方は?」

「こういう時、自分から名乗るモノだろ?」

「俺は、詩空 亜金」

「私は、杉並美穂。
 22歳だ」


俺と美穂はこうして出会った。
懐かしいな。
今思えば、こういう出会いって奇跡に近いんだよな。

俺は、会ったばかりの美穂に色んな話を聞いてもらった。


「なら、ウチに来るか?」

「え?」


俺は、美穂の言葉に耳を疑った。


「え?」

「ルームメイトが実家に帰ってしまってな……
 私一人では、その……なんだ……
 寂しいんだ」

「俺、無職ですよ?」

「私が、派遣会社を紹介してやろう」

「え?」

「って、事で私の家に来い!
 ここで会ったのも何かの縁だしな」

「俺、男だぞ?
 アンタみたいな美人さん、襲うかも知れないぞ?」

「そうだな……
 なら、条件を出そう。
 お互いが好きになるまでセックスは、禁止だ。
 キスならサービスでOKだ」

「……でも」

「一に、選択肢は無い。
 私が目をつけたんだ。
 だから、来い!これは命令だ!」


美穂は、そう言って俺の手を引っ張った。

俺の顔が思わず赤くなる。


「お前、もしかして……
 童貞か?」

「あ、えっと……
 ……うん」


俺は、思わず答えてしまった。
こうして、俺と美穂は一緒に暮らすことになった。
今思えば、この出会いが無ければ俺はとっくに死んでいたんだろうな。
その美穂が、俺のベッドで今も横になって俺の顔を見ている。
俺は、まだ疑われているまま……

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