まっしろなティスタメント（小説）

2012年09月03日


月曜日、新しい週の始まり。
退屈な1週間のはじまり。


子供たちは授業。
俺は、病室に引きこもり。

することもない。

ポケモンも子供たちと対戦するとき以外は、あまりやってない。
少し飽きたのかもしれない。


何気なく俺は、外に出る。
外は、少し涼しくなって来たかな。


外を歩いていると山本さんが居た。
山本さんは、綺麗な女性と一緒に居た。
誰だろう？


山本さんは、俺に気付くと大きく手を振る。


「おーい。
　亜金君！」

「あ、山本さん。
　おはようございます」

「おはよう」


俺は、ゆっくりと女性に視線を移す。


「あ、おはようございます。
　私、娘の夢叶（ゆめか）です」

「あ、亜金です」

「はじめまして……
　父から話を聞いています」

「え？」

「可愛らしい彼女さんといつも一緒にいる方だと……
　あと、子供に好かれる方だと……」

「そ、そうですか……
　子供に好かれてるのかな？
　たぶん、精神年齢が近いだけだと思うけど……」

「そうなんですか？」


夢叶さんは、クスっと笑う。
なんか、滅茶苦茶可愛いな、この人。


「亜金君、この子を貰ってはくれないか？」

「え？」


山本さんの突然の発言に俺は、戸惑う。


「もう、お父さん。
　私、今月末で結婚するんだから……」

「それは、わかっているが……
　あまり知らない男より、私が知っている人間の方が……」

「先月紹介したじゃない……」

「それっきりじゃないか……」


山本さんは、ため息をつく。


「今週、また挨拶に来させるから……」

「私は、結婚を認めてない訳じゃないんだよ。
　ただ、寂しいだけなんだよ」


山本さんは、寂しそうに空を見上げる。
空は何処までも青く、そして綺麗だった。