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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年10月22日


月曜日は、憂鬱のはじまりと言うけれど……
俺にとっては暇の始まりだ。


美穂も仕事だしね……


今の美穂は、どんな仕事をしているのだろう。
たまにお小遣いをくれるけど……

結構羽振りがいいみたいだ。

お土産もよくくれる。
シュークリームだけど、ローソンのシュークリームとは、比べられないくらい美味しい。
お土産は、シュークリームだけではなくエクレアとか、クッキーとか俺が飽きない程度に持ってきてくれる。
ホント、気の利く女になったモノだ……
ホントにね……


俺が、欲しそうにしているモノが、あれば大抵のモノなら買ってくれる。
と言ってもほとんどは食べ物なんだけど……


朝、美穂が出勤したあとで、待合室をブラブラしていたら稲穂さんが、青い顔をして歩いていた。
声を掛けようか迷ったけど、俺は声を掛けることにした。


「稲穂さん!」

「亜金さん……」


稲穂さんは、俺の姿を見るなりその場で泣き崩れた。


「何があったのですか?」

「歩の病状が悪化しました……」

「悪化?」

「さっき、朝食を食べているときに倒れて……
 今、集中治療室にいます……」

「そうですか……」


何を言ってあげたらいいかわからない。
何を言えばいいのかもわからない。


「夫にも先立たれて、歩にも先立たれたら、私……」


稲穂さんが、涙を零す。

大丈夫。

そう言ってあげたかった……
だけど俺は、そんなことを言える自信が無かった。
充君にも「大丈夫」と言った。
だけど、充君はあっけなく逝ってしまった。

命の儚さが、わかった。

だから、わかるんだ。

「大丈夫」

その言葉の無責任さを……
でも、それでも俺は言わなくちゃダメなんだ……


「歩ちゃん、よくなるといいですね」


稲穂さんは、頷く。


「大丈夫ですよ。
 歩ちゃんは、強い子だから……」

「ありがとうございます」


稲穂さんは、暫くその場で泣き続けた。


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