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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年11月28日

水曜。
おはよう
何月何日晴れー
ひかりは
みずいろ匂い


俺の日記には、今までの出来事が書いてある。
俺のベッドの日記にはおひるねの回数が書いてある。
時計の日記には、子供たちが、何度遊んでくれたか書いてある。

それなら、俺のくちびるの日記には、あなたのなまえ何回呼んだか書いてある。

one two three four five and six…


ランカ・リーの代わりに初音ミクに替え歌を歌わせたスマホの着信音が鳴る。

時間は、7時半。

8時に食事が配られる。
美穂も目を覚まし、俺の顔を見る。


「どうしたの?」

「亜金の寝顔かわいい」

「男にかわいいは、ほめ言葉じゃないからな」

「今の着メロ、いつもの声と違うね。
 歌詞も違ったし……」

「うん。
 ちと替え歌作ってみた」

「隼人君、今日、退院するんだね」

「ああ。
 この病院の院長が運営する施設に行くらしいよ」

「淋しくなるね」

「うん」

「隼人君のところに遊びにいかない?」

「そうだな。
 そうするか……」


俺たちは、隼人君のいる病室に向かう。



「あー!
 たこ焼きのおじちゃんだー」

「違うよー
 たこ焼きのお兄さんだよー」


子供たちが騒ぐ。
はい、微妙な歳ですよね。


「で、なんかよう?」


女の子が俺に尋ねる。


「隼人君いる?」

「うん。
 いるよー」


女の子が隼人君の所まで案内してくれる。


「隼人君遊びに来たぞー」

「あ、亜金さん、美穂さんおはよう」


俺は、暫く雑談した。
そして、隼人君の退院の見送りに立ち会った。


「まぁ、気が向いたら遊びに来いよ」

「うん」

「俺も退院したら、喫茶萌萌に行くことが多いと思うからそこでなら会えるだろう」

「うん」

「んじゃ、元気でな」

「うん、亜金さん、美穂さんありがとう」


隼人君は、施設が用意した車に乗るとそのまま車は発進した。
なんだ……
物凄く淋しくなるな……

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