SSブログ

ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2012年12月03日


昨日の仕事の依頼はこうだった。
連日起きている婦女暴行事件の捜査に協力してほしいとのことだった。

何度も言うが、俺は探偵じゃない。
ましてや警察でもない。

なので、犯人逮捕に協力だなんてまっぴらごめんなので断った。
今日は、仕事もない。
昼まで寝てやろうと思ったが、玉藻が私服に着替えて俺を起こしに来た。


「亜金、起きろ。
 仕事の時間だぞ」

「え?
 あの仕事は断ったはずじゃ……」

「私が、受けてきた。
 この分じゃ、お前の今月分の給料がないからな」

「そうだな……
 でも、まぁいいんじゃないか?
 たまには、そういう日もあって……
 それにまだ今日は12月の3日。
 まだまだ余裕はあるさ……」

「では、いいのだな?
 国蔵様の遺産から今月分の生活費を削っても……」

「……それは、イヤだね」


爺ちゃんは、元石油王。
約100兆の遺産を残して亡くなった。
半分は相続税で取られちゃったけど今も数十兆の遺産が残っている。
俺は、そのお金に手を付けたいとは思わない。
何故なら俺は出来が悪く、爺ちゃんに迷惑ばかりかけていた。
だから、死んでまでこれ以上迷惑をかけたくはなかった。
玉藻は、それを一番理解してくれている。
だから、満面な笑顔で言う。


「だったら、働け」


そして、この笑顔が怖い。

玉藻のこの笑顔に逆らうと晩御飯抜きの刑に合う。


「わかったよ……」


俺は、ベッドから起き上がる。


「さぁ、まずは聞き込みだ」


玉藻が俺の手を引っ張る。


「いや、警察に行こう」

「は?」

「そっちの方が情報が集まる」

「まぁ、そうだが……」

「俺は、聞き込みが苦手なんだ……」

「そうだな。
 亜金は、コミュニケーション能力が足りない」

「うん。
 だから、啓司に詳しい話を聞いてみよう」


俺は服を着替えると玉藻と一緒に警察署の総合科学班に向かった。


「亜金来てくれたのか!」


啓司がうれしそうな顔で俺に近寄る。


「うん。
 仕事手伝うよ。
 でも、その代り記事にするから」

「ああ、事件が終わったら幾らでも記事にしてくれて構わない」

「なら、交渉設立だ」


俺は、仕事を引き受けることにした。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。