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ピノの旅(小説) [ピノの旅]

――4月22日


俺たちは、高級そうな呉服店に招待された。
招待の主は、空猫さんだ。


「さぁ、好きなのを選んでいいよ?」


空猫さんが、ニコニコ笑いながら扇子を広げる。


「僕まで本当にいいのかい?」


星さんが、苦笑いを浮かべる。


「構わないよ。
 お花見パーティーの時に着てもらえるだけで十分な宣伝になるしね」

「そ、そう……」


星さんは、そう言って安そうな和服の方に行く……


「ちょっと、ちょっと!
 そんな安い和服でいいのかい?
 そんなんじゃ、宣伝になんないよ?」


空猫さんが、ニコニコ笑う。
どこまで本気かわからない。


「ならば、私は、この和服にしようか?」


プレゲトンは、そう言って花柄と子供が2人、描かれている如何にも高そうな服を指さす。


「その服は、200万のヤツだね。
 ちなみに子供の絵1人描くのに15万するんだー。
 流石、プレさん、お目が高い」


空猫さんが、とても嬉しそうだ。


「そ、そんな高いのか……?
 な、なら違うのを選ぼうか……」


流石のプレゲトンも気が引けるのだろう。


「そう?
 もっと高いのでも構わないのに……」


空猫さんが、ニコニコ笑う。
この笑顔……怒ってるの?笑ってるの?


「じゃー、ピノ!
 あのお洋服が欲しい!」


ピノは、そう言ってガラスの中に展示されている服を指さす。


「お、流石ピノちゃん、お目が高い!
 でも、あれはお洋服じゃなくて和服なんだー。
 そして、あれは譲れないよ」

「残念……」


ピノが、肩を落とす。


「ほう……
 なんでも、売るような素振りだったがアレは、ダメなのか?」


プレゲトンが、とても嬉しそうだ。


「あれを着た人は、死ぬんだ」

「よし、やめておこう」


空猫さんの発言にプレゲトンは、即答した。

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