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小説:片思い~ずっと好きと言えなくて~ [小説:片思い~ずっと好きと言えなくて~]

2月14日


バレンタインですね。
今年もチョコレートは0個でした。

相変わらずはるかさんは、帰ってきません。

今日、英字を託児所に預ける時、ドキドキしました。


何かを聞かれたらどうしよう


って……
でも、思いのほか預ける時も受け取る時も何も言われませんでした。


きっと託児所の人もなんとなく解っているんじゃないかな……


初めて託児所に行った時、一瞬変な顔をされました。
でも、すぐに笑顔に戻り英字を預かってくれました。


ふぅ……


とりあえず明日は休みです。
いっぱい英字と遊ぶぞー


本当は、はるかさんと一緒に居たいけど……

でも、不思議な事が一つある。


はるかさんが居なくなってから英字の機嫌が物凄く良い。


あんな泣いていた子が、借りてきた猫のように大人しい。

俺、心を開かれて居ないのかな?


うーーーん。
どうなんだろう……


とりあえず、夜泣きもせずに大人しい。
それが心配だ。

赤ちゃんは、泣くのが仕事。

でも、誰にも相談できない。


そんな事を思いながら英字を抱きながらの散歩。
夜泣きしなくても寒くても散歩は必要な気がするから……


英字は、星を見てきゃっきゃ。
ピカピカ光る飛行機を見てきゃっきゃ。


無邪気に笑う英字を見て少し不安になる。


「兄ちゃん。
 最近ずっと1人だな?」


そう言って声を掛けてくれたのは、やくざさんでした。


「あ、やくざさん」

「誰が、やくざだ……
 俺は、こう見えても幼稚園の園長だぞ?」


やくざさんは、やくざさんではなく園長さんでした。
でも、この怖い顔での園長は、ちょっとギャップがあると思う。


「ちょっと色々ありまして……」

「話してみろ」


やくざさんは、そう言って温かい缶コーヒーを出してくれました。


そして、俺はやくざさんに話しました。


英字の本当の父親の話。
はるかさんが帰ってこない事。


するとやくざさんは、そっと言いました。


「それは、子供を体よく押しつけられたんだ」


認めたくなかった。
信じたかった。

だけど、だけど、だけど。
現実は、そんなに甘くは無い。
俺には、それが解っていたんだ。



※この物語はフィクションです。
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