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ニートライター亜金の事件簿 [ニートライター亜金の事件簿]

9月13日


今日は晴れ。
そして、昨日の話の続き。


その霊は、自縛霊だった。

カラオケが、出来る前にその場で殺され、そのままそこから動く事が出来ず。
殺された時の苦しみから、逃れる事が出来ず。
なおかつ、その場所で楽しくはしゃぐ人達が、うとましかったらしい。

霧さんの時もそうだったけど、こういう場合、未練を解決してあげると成仏できることがある。


乗りかかった船だ。


「貴方の未練は、なんですか?」

「復讐だ」

「え?」

「俺の妻を殺し、娘を殺し。
 そして、俺を殺したアイツを許すわけにはいかない。
 アンタ、そいつを殺してくれないか?」


なんと言うぶっそうな事を言うんだ、この人は……


「誰に殺されたのですか?」

「橘勤って男だ」


背筋が凍った。


「あ、私もその人に殺されましたー」


千春が、照れくさそうに笑う。


「アンタも……?」


男の顔が、少し明るくなる。


「はい。
 でも、奥さんと娘さんの魂は?」

「橘勤に喰われたよ……」

「……もしかして、奥さんと娘さんって……」


俺は、恐る恐る尋ねた。


「ああ。
 アンタと同じ、能力者だよ」

「やっぱり……」


千春が、小さくため息をつく。


「俺達、橘勤を倒すために動いているんです」

「え?
 アンタも……?」

「『アンタも』って、他に倒そうとした人がいるんですか?」

「ああ。
 確か、亜銀って言っていたな……
 あれ?そう言えば、アンタに少し似ているような……」

「亜銀!?
 そいつ、死んだ俺の弟です!」

「え?
 生きていたぞ?」


どういうことだ?
亜銀が生きている……
いや、遺体はもう火葬したはず……

謎を残したまま俺達は、カラオケ店を出た。


※この物語は、フィクションです。

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