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ニートライター亜金の事件簿~フィナーレ [ニートライター亜金の事件簿]

渡された一枚の紙。

その地図に従い、電車に乗りバスに乗り、警察病院にやって来た。

花を持ちながら電車に乗ったりバスに乗ったりするのは正直恥ずかしかったけど……

とりあえず、地図に記された警察病院にやって来た。


病室は、〇×△号室。


個室だ。


静かな部屋だった。

静かな空間。


俺は、ゆっくりとその部屋の扉を開けた。


誰も居なかった。

懐かしい香りがした。


その香りをかいだだけで、何故だか涙が溢れた。


そして、懐かしい声が俺の耳に入ってくる……


「……マダオ」


温かい感触が優しく俺の背中を刺激する。


「……直美ちゃん?
 どうして……?」

「私……
 気がついたらここに居たの。
 マダオと連絡を取りたかったけど、警察の人が外と連絡は、一切とってはダメだって言われて……」

「……死んでなかったの?」

「……うん」


直美ちゃんが、俺の背中を強く抱きしめる。


「顔見ても良い?」

「ダメ。
 今、私、泣いているだから……」

「……そっか」

「マダオも泣いているね。
 顔を見なくてもわかるよ」

「うん」

「直美ちゃん。
 俺と結婚して下さい」

「バカ……
 このタイミングで言うかな?普通……」


直美ちゃんが、クスクスと笑う。

後で聞いた話だけど、直美ちゃんが橘勤に接触するその前、亜銀によって先に助け出され……
そして、亜銀のドップルゲンガーの能力により直美ちゃんの分身を作ったらしい。
橘勤は、そのドップルゲンガー(人形)を殺し、直美ちゃんを殺した気になっていた。

外と連絡をとらなかったのは、それが橘勤に見つかると色々面倒なことになるかららしい。

でも、そんなことはどうでもいい。

直美ちゃんは、生きていた。

ただ、それだけで嬉しかった。

そして、お礼を言いたかった。


「ありがとう」


直美ちゃんがクスクスと笑った。

ただ、それだけで、幸せだった。


-完-

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ニートライター亜金の事件簿 [ニートライター亜金の事件簿]

9月30日



今日、俺は、何気なくフェアリーテイルで、紅茶を飲んでいた。


「無事、終わったんだな」


御幸が、俺の隣でコーヒーを飲む。


「ああ。
 終わったんだ……
 後味が悪い戦いだったけど……」

「そうですか……」


斎藤さんが、そう言ってオレンジジュースを飲む。


「二人、付き合ったんだってな、由香ちゃんから電話で聞いたよ」

「あの子……
 そんな事を言ったのですか?」


斎藤さんが、照れながら笑う。


「啓司さんは、霞さんとユニバーサルに行ったし……
 フリーなのは、俺だけか……」

「……兄さん、ここに居たのか?」


亜銀が、そう言って俺の肩を叩く。


「あれ?亜銀君?もしかして、幽霊かい?」


御幸が、棒読みで答える。


「美幸さん、地獄の淵から蘇りました!」


そう言って、ニッコリと笑うと後ろから女の子が現れた。


「あれ?
 千春?なんか雰囲気変わった?」

「あのね、私、死んでいなかったんだって」

「はい?」

「仮死状態で遺体は、亜銀の能力で安全な場所に移動したんだって!」

「そうなのか……
 よかったな」

「うん!」

「兄さん、今、暇だろ?」

「暇って言えば、暇だが……」

「ちと、ある場所に花を届けてほしいんだ」

「花?
 構わないが……」

「じゃ、これを……」


亜銀は、そう言ってメモと花を俺に渡した。

メモの住所には、警察病院の名前が記されていた。


「警察病院?
 入院患者に渡せばいのか?」

「ああ。
 まぁ、行けば分かるよ」


亜銀は、そう言って俺の背中を押して俺を店の外に出した。

※この物語は、フィクションです。


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ニートライター亜金の事件簿 [ニートライター亜金の事件簿]

9月29日


戦いは終わった。
最後は、あっけない戦いだった。


橘勤は、凍ったままFBIの本部に引き取られた。
その後、すぐに南極に運ばれたらしい。

テレポートの能力を持った人が来て、作業は一瞬で終わった。
万が一、橘勤が復活しても、南極からここまで、来ることはもうできないだろう。


心の中のモヤモヤが消えない。


FBIの能力しゃが、魂抜きを行われた時、俺も傍に居た。
だけど、そこには、直美ちゃんは居なかった。


もう成仏したのだろうか?


それとも橘勤以外の誰かに殺されたのだろうか?


どちらにしても、直美ちゃんの魂がない限り答えはわからない。


そう、答えは本当の意味で闇の中なのだ。

亜銀は、仕事があるからとすぐにFBIの本部に向かった。

薫ちゃんと俺は、今は、俺の実家にいる。

俺は、直美ちゃんに渡すはずだった指輪を眺める。


「アンタもぼっとしてないで、子供が出来たのだから、きちんとした仕事を探しなさい!」


母親が、俺にぼやく。


「そうだな……」

「たっく、亜銀が生き返ってからは、外国の警察に勤めてるに、アンタと来たら……
 いつまでも、フラフラと……」


母親のぼやきが、耳に入ってこない。

母親は、呆れて俺の部屋を出た。

部屋には、俺と薫ちゃんだけが残る。


「亜金さん……」


薫ちゃんが、小さく呟く。


「どうした?」

「元気出して……」

「え?」

「もしかしたら、違う答えがあるかもしれない……」

「違う答え?」

「わかんないけど……
 そんな気がするの……」


薫ちゃんの元気がない。
俺が元気がないからだろうか?


「そうだな……
 いつまでも凹んでいても直美ちゃんは、戻ってこない。
 せめて、俺だけは笑顔で笑っていとかないとな……」

「……」


薫ちゃんは、何も言わなかった。


※この物語は、フィクションです。
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ニートライター亜金の事件簿 [ニートライター亜金の事件簿]

9月28日


昨日の続き。


「リンさん、何を?」


俺は、思わずリンさんに尋ねてしまった。


リンさんは、無言で両手を合わせる。


「氷結!」


橘勤を氷が包み込む。


「これが、リンさんの能力?」

「はい。
 生きたまま凍らせます」

「へぇ……」

「亜銀さん」

「わかってる」


亜銀は、携帯で本部に連絡した。


「また、復活とかないよな?」


俺は、亜銀に尋ねた。


「今度は、殺してはいない。
 生きたまま解けない氷の中を永遠にさ迷う」


亜銀は、ニッコリと笑う。


「ってか、俺居なくてもよかったな」

「そんなことはありません」


リンさんが、そう言って笑う。


「そうだな。
 と言うか、バシップスキルは凄いとつくづく思う」


カミーユさんが、そう言って俺の頭を撫でる。
俺の方がたぶん歳上なのに、背の高いヤツはこれだから……


「アイツは、能力の相性と制限については、知識がなかった」


シローさんが、そう言って笑う。


「制限?」

「相手の能力を封印している間。
 その能力が、高ければ高いほど、封印を使ったモノの能力が、下がる。
 お前みたいなバシップスキルを封印すれば本人の能力は、10%以下になる。
 だから、あんなに早く俺達だけで倒す事が出来たんだ」

「じゃ、まんざら俺の能力が役に立たなかったと言う訳でもないんですね」

「はい。
 亜金さんが居たから勝てたのです」


リンさんが、答えてくれた。


「後は、本部に、コイツを引き取ってもらって能力者に魂抜きを行い、コイツにとらわれた魂を解放する」


シローさんは、そう言うとタバコに火をつける。


「そうですか……」


直美ちゃん、仇打てたよ。
無事、成仏してくれよ……


※この物語は、フィクションです。

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ニートライター亜金の事件簿 [ニートライター亜金の事件簿]

9月27日


今日も寒い。
昨日の続き。


「啓司さん。
 俺の脱力が効いていない気がするのだけど……」

「そうなのか?」


啓司さんが、首を傾げる。


「それについては、俺が答えてやろう」


橘勤が、そう言って笑う。


「なに?」

「俺は、一人殺し、そいつから封印の能力を奪った」

「……なんだと?」


シローさんが、橘勤を睨みつける。


「貴方、また人を!」


リンさんも橘勤を睨む。


「まぁ、いい……
 だったら、もう一回アイツを殺すまでだ!」


カミーユさんが、そう言って冷蔵庫から瓶に入ったコーラを出す。
そして、橘勤に向かって瓶のふたを親指ではじく。
コーラが、しぶきをあげて橘勤にかかる。


「なんのつもりだ?」


橘勤が不機嫌そうにカミーユさんを睨む。

カミーユさんは、ニヤリと笑う。


カミーユさんは、コーラを振った。

そして、コーラが一本の刃となった。


「これが、俺の能力水刃(みずがたな)さ……
 触れた水質を全て刃に変える事が出来る」

「当たらなければどうってことはない……
 ぬ??」


橘勤は、そう言って動こうとした。
しかし、体が動かない。


「さ、さっさと死ね!」


カミーユが、そう言ってコーラで、出来た刃で橘勤を斬った。


「く……?」


橘勤は、そのままその場に倒れた。


「リン!」

「わかってます!」


リンさんは、水の入ったバケツを橘勤にかけた。


続きは、明日へ……

※この物語は、フィクションです。


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