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亜金友人帳 [亜金友人帳]

5月18日


金曜日、今日も学校は休みだ。
今日も座来栖君がいる病室に向かうか……

一昨日、あの後座来栖君は病院に運ばれた。
また、2~3日の入院が必要らしい。


俺は、1人で座来栖君がいる病室に向かった。
すると病室の入り口にたたずむ笹鈴さんを見つけた。


「笹鈴さん、中に入らないの?」

「亜金ちゃ……
 私がいると座来栖君に迷惑がかかるから……」

「そんなことはないと思うけど……」

「前もそう、私を護るために……」

「気にしなくてもいいよ。
 女の子を護るのは男の仕事みたいなものだから」

「でも……
 本当は、私が護らなくちゃいけないのに……」

「どうして笹鈴さんが、座来栖君を護るの?」

「……亜金ちゃ、私の正体知ってるんでしょ?
 亜金ちゃ、その素質あるもん」

「正体?
 笹鈴さんが、妖怪だってこと?」

「うん……」

「それと笹鈴さんが、座来栖君を護ることとどう関係あるの?」

「私ね、小さいころ雪山でライフルで殺されかけたことがあるの」

「え?」

「その時にね、助けてくれたのが座来栖君なんだ」

「そこから一目惚れ……
 私は、力をつけて小学生のころに人間に化けてそっから座来栖君にべったり……
 座来栖君優しいよね、私みたいなのにも優しいんだもん」

「……そっか」


あの夢は、笹鈴さんの記憶だったのかな?


「うん」

「笹鈴さんって、もしかして雪女?」

「あ、うん。バレちゃった?」

「うん、周りを凍らせたから、それでなんとなく……」

「そっか……
 私、座来栖君に嫌われちゃったかな?」

「そんなことないよ」


俺が、そう言うと笹鈴さんが、小さく笑う。
その目には涙が一筋こぼれた。
こぼれた涙は、すぐに凍り地面に落ちるとバラバラに割れた。


「泣くことも満足に出来ない女に座来栖君は、魅力を感じてくれないと思う。
 だから、私はもう座来栖君から離れようかなって思うんだ……」

「え?」

「あのアゲハって人、また私を狙ってくる。
 だから、私が離れることで座来栖君を護るの」


笹鈴さんが、そう言うと周りの空気がヒンヤリと冷たくなる。
そして、その場から姿を消した。

笹鈴さんがいつもつけていた赤いマフラーだけが、床に残されていた。

こんな時、どうすればいいのかわからない。

俺は、座来栖君の病室には入らず外に出た。

外は、曇り。
笹鈴さんを探そうと思ったけれど見当もつかない。
でも、俺は朝の街を徘徊した。

※この物語は、フィクションです。

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