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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年06月05日


朝、看護師さんがカーテンを開けることにより光が、部屋に差し込み。
俺は、その光によって目覚めた。


「やっと起きましたね」


看護師さんが、ニッコリと笑う。


「あ、はい……
 おはようございます」

「はい、おはよう。
 今日も良い朝よ」

「そうですか……」

「亜金君も起きたことだし、朝ごはん持ってきますね」

「あ、はい……」


看護師さんは、ニッコリと笑うと部屋を出た。
するとすぐに扉が開き、現れたのは、小学生低学年くらいの女の子が入って来た。


「お兄さんどっか悪いの?」


突然の質問に俺は、戸惑う。


「君は誰?」

「私?私は、歩。
 石田 歩だよ。
 ねぇ、どっか悪いの?」


答えにくい。
自殺したって言いにくい。
そっか、俺は言いにくいことをしたのか……


「頭が悪いんだよ」


俺は、思わず嘘をついた。


「治るの?」

「さぁな……」


歩ちゃんは、心配そうに首を傾げた。
そっか、ここは病院だ。

『頭が悪い』と聞けば『頭の病気』と思ってしまっても無理はない。
歩ちゃんは、パジャマを着ている。
たぶん、入院しているのだろう。


「歩の病気もね。
 治るかわからないんだー」

「え?」

「私はね、白血病なんだって。
 お兄さんは、白血って何かわかる?」

「詳しくはわからないけど、白血球と言う細胞の癌だったかな……」

「私、死ぬのかな?」


歩ちゃんは、目に涙を浮かべた。


「癌は治る病気だよ」


それが、俺が言える精一杯の励ましの言葉だった。


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