まっしろなティスタメント（小説）

2011年06月21日


昨日の続き。
先生の名札を見ると、春雨　銘（はるさめ　めい）と書かれていた。
うん、どこかで見たことがある名前だな……

でも、今は、そのことはどうでもいい。


歩ちゃんの病室に着くと、銘先生はすぐに部屋に入った。
無菌室だから、俺達は入れない。

千春ちゃんもすぐにやって来た。


「どうして、千春ちゃんが……？」

「すみません。
　ナースコールが、あったので、それで呼びました」


女性……
もとい、歩ちゃんのお母さんが、そう言って苦笑いを浮かべた。


歩ちゃんの意識が、回復した。
これで、一安心。

それから、暫くしたら普通の病室に過ごせるようになった。


歩ちゃんが、死ななくて良かった。
俺は、心からそう思った。


普通に院内学級にも参加する事も出来ている。
歩ちゃんは、物凄く楽しそうだ。


これで、一段落だな……

俺は、そう思ってゆっくりとため息をついた。


問題なのは、俺だよな……


自分で死のうとしたのが、恥ずかしくなってきた。

でも、俺の中の問題は解決していない。
脳に癌がある。

俺は、もうすぐ死ぬだろう。


俺が死んだらどうなるんだろうな？
誰か泣くのかな？

心が少し切なくなった。


俺は、歩ちゃんの無事を確認した後、ゆっくりと自室に戻った。
安心した所で、今日も眠るぞ。

俺は、再び眠りについた。