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ねぇ、今どこにいるの?(自宅篇) [ちょっとホラー]





てる?




いは




には





だよ?




いは



えに



んだ。


彼女との出会いは、ちょうど1年前の夏。

出逢ったばかりの彼女は、まるで人形。
物静かで優しく暖かい。

そんな彼女に恋心を抱くのにさほど時間はかからなかった。

考えるのも毎日。
思うのも毎日。

僕の頭は、彼女のことばかり。
だから、勇気を出して……
今までにない勇気を振り絞って僕は、彼女に告白した。
すると彼女は、僕の告白をあっさりと受け入れてくれた。


「ずっと一緒にいること」


それが、彼女が出した僕への条件だった。


楽しい夏がはじまる。
楽しい思い出がはじまる。


だけど、そんな僕の思いとは裏腹に彼女は僕の前から姿を消した。

初めての恋。
遅すぎた初恋。

初恋は、叶わぬモノ。


そうわかっていても心で理解するのには時間が、必要だった。

なんとか立ち直りかけた時。
携帯に一本の電話が掛かってくる。


「ねぇ、今どこにいるの?」

「今、家にいるよ?」


ツーツーツー


電話が切れる。
今になってどうしたんだろう?


次の日も、その次の日も、彼女から電話があった。


「ねぇ、今どこにいるの?」

たったその一言。
それだけを言い残し電話が切れる。


胸騒ぎがした。
彼女の名前と連絡先。
そして、写真を持って警察に向かった。
すると警察の人が、不思議そうに首を傾げる。


「あれ?
 この方、先月に自殺しているわよ?」


僕は、耳を疑った。


「でも、昨日、彼女から電話があったんです」

「誰かのいたずらじゃないかしら?」


警察の人は、そう言って苦笑いを浮かべた。

僕は、ショックだった。
誰も居ない家に帰り、洗面所で顔を洗う。


携帯が鳴る。
彼女からだった。


「ねぇ、今どこにいるの?」

「いいかけんにしろ!
 君は、誰なんだ!」


ツーツーツー

電話が切れる。

僕は、背後が気になって振り向いた。
誰も居ない。

前を向く前に、ふと視線が気になった。

上……

そう視線は、背後ではなく上から感じた。

僕は、ゆっくりと視線を上に上げる。
するとそこには、彼女がいた。

ニヤリと笑う彼女が……

そして、彼女の髪が僕の首に絡みつく。
僕の意識が遠くなる……

薄れゆく意識の中、彼女の声が耳に入った。


「ずっと一緒にいるからね」

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