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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年07月20日


金曜日。
まだ、風邪の調子が良くない。
熱は、37.8度。


昨日に比べれば、だいぶんマシ。
今日は、萌ちゃんが来てくれた。


「あ、萌ちゃん。
 おはよう」

「ん。亜金君、おはよう。
 風邪は大丈夫?」

「うん、昨日に比べればだいぶん楽だよ」

「そう、よかった」


萌ちゃんがニッコリと笑う。


「心配かけてごめんね」

「うんん。
 今日はね、亜金君に報告があるんだ」

「なに?」

「私、日曜日に手術することが決まりました」

「お♪成功すると良いね」

「うん。
 でも、転移の可能性もあるから油断できないって……」

「そっか……
 でも、大丈夫だよ。
 癌は、治る病気だから……」

「うん」


萌ちゃんは、ニッコリと笑う。


「あ、リンゴ食べる?
 美味しいリンゴ持ってきたんだ」

「うん、ありがとう」


萌ちゃんは、カバンからリンゴと果物ナイフを出すと丁寧に向いてくれた。


「はい!うさぎさんだよ」


萌ちゃんは、そう言って俺にうさぎさんリンゴを渡してくれた。
俺は、それを口に運ぶ。


「あ、美味しい」


正直な感想だった。


「でしょ?
 ウチの取引先のリンゴなんだー。
 とっても美味しくて評判がいいんだよー」

「リンゴ単体で出してるの?」

「うんん。
 アップルパイに使っているんだー」

「食べてみたいな」

「うん!
 退院したら食べにおいでよ!」

「うん」

「じゃ、ゆびきり」

「え?」

「お互い病気が治ったら、私の家でアップルパイを食べること」


萌ちゃんは、昔からゆびきりが好きだったな。

俺は、ゆっくりと小指を立て、何年ぶりかのゆびきりをした。
少し恥ずかしかったけど、懐かしい感じがした。

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