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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年9月23日


今日は、雨。

だけど、今の俺には関係ない。
たこ焼きをひたすら作る。


そして、沢山作りすぎた。


病院の看護師さんや子供たちも事情を知っているので、喜んで食べてくれるが……
流石にたこ焼きだけではあきるだろう。


俺は、たこ焼きを沢山作ると、美穂を連れて外出許可を貰い外に出る。


「ねぇ、何処に連れて行ってくれるの?」

「俺の友達の家だよ」

「え?」


美穂が目を丸くさせて驚く。


「どうした?」

「もしかして、婚前のあいさつ?」

「違うよ。
 昨日会った、太郎のところに持っていこうと思ってね」

「そっか……」

「萌ちゃんにもお供えしたいと思って」

「ふーん」

「まぁ、すぐそこだから……」


俺は、そう言って喫茶店の前に立つ。


「ここ?
 喫茶萌萌ってあるけど……」

「うん。
 萌ちゃんのお父さんの代からあるお店だよ」

「そっか……」


俺は、静かに萌萌のドアを開ける。


「いらっしゃ……って、亜金さんじゃないっすか!
 来てくれたんっすか?」


太郎が嬉しそうに俺の方を見る。

お客さんはそこそこ入っている。


「ああ。
 今日はたこ焼きを持ってきたんだ。
 俺のお手製だぞ」

「それは、楽しみっす」

「あ……亜金さん」


桃ちゃんが、そう言って俺の方を見る。


「桃ちゃん久しぶりだね」

「……うん」

「たこ焼き持ってきたよ。
 食べるかい?」

「うん!」


桃ちゃんが、大きく頷いたのでたこ焼きをひとつ渡した。

桃ちゃんは、それを頬張ると嬉しそうに笑う。


「美味しい!」


その笑顔が、何よりも嬉しかった。

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