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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年10月28日

雨。

これは、歩ちゃんの涙雨だろうか?
朝からポツポツと雨が降る。

今日の夜。


歩ちゃんのお通夜が行われる。

充君が亡くなってすぐに歩ちゃんも亡くなった。
萌ちゃんも山本さんも亡くなった。
万桜ちゃんに至っては、世界を見ることさえ出来なかった。


俺の心の中が、えぐられたように痛い。


明日は、御葬式。
そして、火葬され骨になり暫く経って埋葬される。


これは、人が死ぬ時に行われるごく一般的なこと。

なのに、今は、涙さえ流れない。

涙が流れないのは俺だけじゃないみたいだ……


「君は、泣いてもいいんだよ?」


俺は、隼人君に尋ねる。


「僕は、泣かないって決めたんだ」

「え?」

「マコや父さん、母さんが、死んだとき、僕は泣かないって決めた。
 少しでも強くなりたいから……」

「そっか……」


小間 マコ……
隼人君の2つ下の妹だったかな。
隼人君の家族は、みんな亡くなった。
一家心中ってヤツだ。

隼人君だけ、助かった。
辛かっただろうな……


「亜金さんは、泣かないの?」

「俺は、少し冷たい男なんだ」

「そう?」

「今にも泣きそうな顔だけど……?」

「まぁ、俺は弱虫だから……
 愛ちゃんは、大丈夫なのかい?」

「愛は、部屋でうずくまって泣いているよ」

「一緒に居てあげないのかい?」

「今は、1人の方がいいかなと思って……」

「そっか……」


俺は、そう言って缶コーラーを口に運ぶ。
隼人君も缶コーヒーを口に運んだ。

なんというか……
この構成は逆のような気もする。

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