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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年10月30日


今日の朝、小太郎がやって来た。
1人の男を連れて……


「亜金、この間頼まれたことを御幸に頼んだんだ」

「この間?」


俺は、頭の中が真っ白だ。


「美穂さんのことだ……」


小太郎が、言う。
それを聞いて俺は思い出す。
そんなこと頼んだな……


「で、そちらの方は?」


俺は、その男の人の方を見る。


「僕の名前は、西郷 御幸(さいごう みゆき)。
 弁護士をやっているよ」

「弁護士ですか?」

「ああ」


御幸さんが、ニッコリと微笑み俺に手をさし出す。
俺は、ゆっくりと体を起こし御幸さんの手を握り締める。


「で、杉並 美穂さんに関してですが……」

「あ、はい……」

「6月1日に自殺している……」

「あ、はい……
 でも、助かったんですよね?」

「いや……
 それが……」


俺は、ここで認めたくない現実を知ることになる。
美穂は、もう……


とっくに亡くなっていた。


「じゃ、今いる美穂は……?」

「それは、君が直接確認するんだ……」

「え?
 僕の口から言わな方がいいだろう」

「ただ言えることは、1つ。
 もう君の知る杉並 美穂と言う存在はこの世にはいない」


じゃ、あの美穂は誰なんだ?
どうして美穂のふりをしてるんだ?

俺には、わからないことばかり……


充君に歩ちゃんの死……
そして、美穂の死まで知らされた。
俺の中は、頭が、真っ白になった。


「ただやって信じてほしい。
 その子に悪意はないと……」


小太郎が、俺の目をじっと見て言う。


「ああ、わかった。
 ありがとうございます」


悪意が無いのはわかる。
だから、こそ知りたい。
あの子が、何を理由にそんなことをしているのか……
もう少しだけ付き合おうかと思う。
あの美穂のことを信じて……

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