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まっしろなティスタメント(小説) [まっしろなティスタメント]

2012年11月24日


空は曇り、心は曇天。
愛ちゃんが亡くなってからと隼人君の元気がない。

明日、隼人君は眼帯を取るらしい。

ベッドの上でずっと蹲っている。


辛いのはわかる。
悲しいのはわかる。


でも、そこまでわかっているのに何を言ってあげればいいのかがわからない。


「はぁ……」


俺は、ため息をつく。


「亜金、ため息なんかついてどうしたの?」

「隼人君、自分のベッドから出てこないそうだ」

「うん。
 それは、聞いた」

「どうにかして救ってあげることはできないかなと思って……」

「時間が解決してくれるんじゃないかな?」

「それって、忘れるってことでしょ?」

「そうなるね」

「時間の解決ほど残酷なものはないような気もする」

「そっかな?
 人は生きる過程で誰かを失う。
 それに一つずつ反応していたら、心が幾つあっても足りないよ。
 時には忘れることも必要だと思う」

「そうだね……
 でも、忘れるのって怖いぞ?」

「うん。
 でもね、死のうとした亜金にも亜金が死んだら悲しむ人がいるってことは、忘れちゃだめだよ?」

「えー。
 話をすり替えないでよ」

「でも、そうでもしないと亜金は、再び死のうとするでしょ?」

「しないよ」

「本当に?」

「うん。
 命の大事さとか、ここに来てわかったしね……」

「ならいいけど……
 亜金にはずっと生きていてほしいんだ」

「うん。
 あと60年は生きるよ」

「うん。
 私は、あと61年生きる」

「え?」

「亜金が、死ぬとき淋しくないようにずっとそばに居てあげるね。
 それで、亜金が死んだあと淋しくないようにすぐに逝く……
 天国に行ったら、亜金が私を迎え入れてよね。
 パーティーの準備をしててね」

「何のパーティー?」

「天国誕生日?」

「意味わかんないや」


俺は、思わず笑った。


「亜金のホントの笑顔、久しぶりに見た。
 その笑顔忘れちゃダメだよ」


そう言う、美穂も元気がない。
美穂も愛ちゃんの死に相当ショックを受けたんだろうな。


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