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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年01月19日


土曜日。
晴れ……
肌寒い。
人肌が恋しい季節だと言うけれど……
人肌なんて知らないよ。と言いたいお年頃。


俺は、リビングに向かうと優雅に紅茶を飲んでいる玉藻に尋ねる。


「玉藻、人肌ちょうだい」

「寝言は寝てから言え」


玉藻から厳しい一言が、返ってきた。
だから、俺はその場に横になる。


「人肌ちょうだい」


玉藻が、ため息をつく。
そして、俺のおでこにかかと落とし。
痛い……

俺は、無言でおでこを押さえてうずくまる。

でも、パンツは見えたぞ……


「遊んでないで、早く夕貴さんの所へ行って来い」


玉藻が、椅子に座るとそう言って紅茶を口に運ぶ。


「え?
 夕貴さんの所に行くの認めてくれるの?」

「そうではない。
 ただ、夕貴さんの弟が、また海藤の所に行く可能性もあるからな。
 それを止める為にも行って来い」

「……うん」

「念のために聞くが、下心はないよな?」


玉藻の目が冷たい。


「うん」


俺が頷くと玉藻は、ニッコリと微笑む。


「じゃ、行って来い」

「うん!」


俺は、大きくうなずくと夕貴さんが入院する病院へと向かった。
もちろん、夕貴さんには残念そうな顔をされた。
夕貴さんが、携帯に文字を入力する。


【御幸さんは、来てくれないのですか?】

「うん。
 御幸は、仕事が忙しいからね……」

【瑞樹の件、ありがとうございました】


夕貴さんが、携帯にそう入力した。


「うんん。
 瑞樹君、どうしてる?」

【家で引きこもっているそうです】

「そっか……」

【怪我、しなくてよかったです】

「俺が守るからね。
 夕貴さんのことも瑞樹君のことも……」


夕貴さんは、苦笑いを浮かべて携帯に、こう入力した。


【期待はしませんが、頼りにしてます】

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