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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年03月01日


金曜日、曇天。

白銀たちを追い払ったモノのこの病院も含め、枚方は悲惨な状況になっていた。
幸い病院内で死者は出なかったものの枚方の被害は、凄まじいモノだった。



枚方市人口409830人の内
死者、約20000人。
負傷者、約220000人。
行方不明者、約100000人。



枚方市民の4分の1が、行方不明。
半分以上の人が負傷、そして死者の数も多い。

俺たちは何を護るために戦ったのだろう?
恋次を解放していれば、こうならずにすんだのか?


色んなことが、頭をよぎるが何も考えれない。


啓司は、上の人に呼ばれ会議をしている。
御幸は、御幸で被害の状況整理の為に大阪市で情報収集をしている。
太郎と萌ちゃんは、無料で炊き出しをやっている。瓜君や桃ちゃんも小さいながらも手伝っている。
里杏ちゃんは、けが人の治療を……
ギフト能力にも限度がある為、外科的治療を地道にやっている。
歌は、遅れてやって来たモノの今は、歌で枚方市民の心を励まし続けている。
王は、この現状を記事にし多くの人にボランティアや応援に来るように呼びかけた。
玉藻も俺の元を少しの間離れると言い、夕貴さんと一緒に難民の救護に向かった。
玉藻の能力があれば、孤立した難民の救援くらい容易いモノだろう。


俺は、何が出来るのだろう?
何もできない。
何をしたらいいのかがわからない。

俺は、配給されたペットボトルのお茶を見つめながら空を見る。


「こら!
 ここは、危ないで?」


変な関西弁の女の子の声が俺の耳に入る。
振り返ると杉浦さんが、そこに居た。

「あ、杉浦さん」

「あ、亜金さんやん」


杉浦さんが、そう言うと俺の隣に座る。


「どうしたの?
 こんなところで……」

「ウチは、ちょっとでも人の役に立てるようにボランティアしてたんや。
 ココも今の状態では、創刊できないんよ……」

「ココのビルもやられたの?」

「ココのビルは、無事やったけど印刷所がやられたんよ……」


杉浦さんもそう言ってため息をつく。


「そっか。
 俺は、何にもできない自分に腹が立ってたところだよ」

「何もできない人なんていいひんよ?
 亜金さんは、亜金さんにしかできないことがあるはずや」

「俺にしかできないこと?」

「そうや」


俺にしかできないこと……
俺は、それを考えることにした。
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