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ギフト(小説) [ギフト(小説)]

2013年03月04日

晴れ、月曜日。

ピノは、一命を取り留めた。
だけど、何者かのギフト能力の【呪い】で、もう今日明日中には命を落とすらしい。

俺は、ピノの最後を見届けることにした。
知りも知らない女の子。
正体不明の女の子。
だけど、この子は、敵じゃない。
そんな気がする。

これは、ニュータイプの勘なのかもしれないし。
ただたんに、俺が、ピノを信じたいだけなのかも知れない。


俺は、ぼーっとベッドの上で眠るピノを見た。
するとピノは、目をパッチリと開ける。


「あー。
 亜金ー」


ピノは、嬉しそうに俺の体に抱き付く。


「亜金だ♪亜金だ♪亜金だ♪」


ピノは、何度も俺の名前を呼んではしゃぐ。


「亜金、亜金は、時の巡礼者……
 私、ずっと探してたのですます!」

「その時の巡礼者って言うのはなんなの?」


俺は、真面目な顔でピノに尋ねる。


「時の巡礼者は、色んな世界に自由に行くことができるのですます
 でも、死んじゃうと記憶を失って別の存在になって同じ宿命を持って生まれることができるのですます」


うん。
何を言っているのかさっぱりわかんない。


「どういうこと?」

「ピノも時の巡礼者なのですます!
 ピノはこの世界の亜金を見つけたのですます!」

「え?ピノは俺のことを知ってるの?」

「ピノは、別の世界の亜金を知ってるのですます!
 その世界で亜金はピノのご主人様なのですます」

「うーん。
 平行世界とかパラレルワールドとかそんなの?」


ピノは、嬉しそうに頷いた。


「うん!
 そう!
 でも、ピノ嬉しいですます」

「どうして、嬉しいの?」

「この世界の亜金は、何処か幸せそうですます」

「え?」

「私の世界に亜金は、寂しくて私を作ったのですます」

「それって、ピノは俺の子供ってこと?」

「ピノは亜金の子供じゃないですます。
 亜金はご主人様なのですます。
 ピノは人口生命体なのですます」


別の世界の俺は、そんなモノを作ることができるのか。
俺、凄い……


「ピノ、明日、お外出れる?」

「どうして?」

「ピノ、亜金と約束したのですます。
 ピノは、もう一つの世界の亜金は、ピノに雪を見せてくれるって!」


無茶な約束をしたな、もう一つの世界の俺……
もう、3月だぞ……
俺は、思わずため息をついてしまった。

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