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ピノの旅(小説) [ピノの旅]

――03月18日


朝、目覚めると父から貰った剣が俺を起こしに来る。
いや、正式に言うと剣の精霊なのかもしれない。
金髪で巨乳で小柄な少女の形をしている。
名前は、プレゲトン。


「亜金、起きろ!
 飯の支度が出来たぞ」


プレゲトンが、そう言って俺のベッドの布団をはぎ取る。


「もうお前も16歳だろう?
 自分ひとりで起きれるようになれ!」


プレゲトンが怒鳴る。


「起きていても暇なんだもん。
 毎日、意味の分からない魔術書の勉強、剣術の修行の繰り返し……
 もう、いい加減飽きたよ」

「亜金。
 これは、主の為でもあるんだぞ?」

「俺の為?」


俺が首を傾げるとプレゲトンがため息交じりに答える。


「主は、時の巡礼者。
 しかも、他人の不幸を喰らい吸収する能力だ。
 その他人が、不幸と思うことならば、死や老いさえも吸収してしまう。
 悪用されないためにも亜金は、強くならなくてはいけない」

「だったら、冒険に出かけようよ!」

「冒険に出るのはもう少し強くなってからな」

「プレゲトン、毎日そればっかじゃん。
 もう10年以上そのセリフを聞いているよ」


俺が、そういうとプレゲトンが寂しげな表情を浮かべる。


「そうだな……」

「もう、ここに来て12年だよ?
 早く外に出たいよ」

「そのうち出ることになるさ」

「え?」

「さぁ、こんな話は置いておいて飯を食べるぞ」


プレゲトンは、そう言って俺を引っ張る。
俺は、食事を済ませると魔道書の勉強と剣術の練習を夜まで続けた。
夜ごはんの時、プレゲトンのお説教が始まる。


「亜金は、相変わらず握力がないな」

「え?」

「剣筋は良い。
 だけど、相手の剣を受ける時、最低限その衝撃に耐えれるだけの握力が必要なんだぞ?」

「そんなの相手が居ないし、仕方がないじゃないか……」

「そうだな……
 私が、相手になりたい所だが、私は剣だからな」


プレゲトンは、そう言う。
プレゲトンは、人だけど剣だ。
俺は毎日、プレゲトンを持って素振りや魔術の勉強をしているのだけど……
それも正直飽きたな。

プレゲトンが居ないとき生体錬成の勉強をしよう。
プレゲトンは、ペットを飼ってはダメだという。

「欲しいものが、ある時は自分で作れ」

プレゲトンの言葉だ。
俺は、それをやってやろうと思う。

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