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ピノの旅(小説) [ピノの旅]

――03月19日


俺は、プレゲトンが眠っている間にプレゲトンの髪を数本拝借した。
魔法人工人間は、1つの遺伝子ではできない。
男と女の遺伝子が必要。

なので俺の遺伝子とプレゲトンの遺伝子を混ぜて、あらかじめ用意していた魔法器具に入れる。
すると……


大きな爆音が館中に響いた。
きっと外にも響いていただろう。


プレゲトンが、駆け寄ってくる。


「なんだ?
 今の爆音は!
 亜金!怪我はないか!」

「俺は、大丈夫だよ?」

「何をしたんだ?」

「屋敷には、俺しかいないから寂しくてつい作っちゃった」


俺は、苦笑いを浮かべた。


「作ったって何を?」

「……子供」

「は?
 誰と誰の?」

「俺とプレゲトンの……」


プレゲトンが、自分のお腹を触る。
そして、顔を赤らめる。


「って、そういう行為はやってないだろう?」


俺は、プレゲトンのその表情がとても面白かった。


「そうじゃなく、作ったんだ。
 プレゲトンの遺伝子と俺の遺伝子を混ぜて魔法人工生命体を……」

「バカか?
 それは、どんな研究員でも成し遂げなかったモノだ。
 一朝一夕で、そんなモノができるわけが……」

「ピノ……?」


プレゲトンが怒鳴っていると俺たちとは他の女の子の声が聞こえる。


「ピノ?」


俺とプレゲトンが、目を合わせそしてその方向を見た。
すると炎の衣をまとった女の子がこちらを見ている。


「あれは?」


プレゲトンが、女の子に指をさす。


「ピノ?」


女の子が、きょとんとした顔で俺たちの方を見ている。


「成功したのか?」


プレゲトンが、目を丸める。


「かな?」


俺は、胸を張る。
もしかして、俺は天才なのかもしれない。
これで、プレゲトンも外の世界を見ることを許してくれるようになるだろう。
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