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小説:余命宣告 [余命宣告]

11月1日


俺が、目覚めるとそこは、見知らぬ天井が視界に入る。
白い天井。

それは、どこまでも広くどこまでも白かった。


「亜金くん?」


俺をそう呼ぶ女の子が、心配そうに見つめている。
その女の子の名前は、はるかさん。
行き場の無い俺を拾ってくれた女の子だ。


「はるかさん?
 俺、どうして……」

「覚えてる?
 私を抱きしめている間に倒れちゃったの……」


ああ……
そうだった。
折角拾ってくれたのに俺は、その場所から逃げたんだ……


「覚えてる。
 迷惑かけてごめん……」

「私、先生を呼んでくるね」


はるかさんは、辛そうに笑うと俺の病室を出た。

それから暫くしてから、医師が俺の病室に入ってきた。


「意識は、あるようだね……」

「あ、はい」

「少し話があるのだけど、いいかい?」


医師は、重々しい口調で言った。


「どうぞ……」

「君は、身寄りがないからどうしようか迷ったのだが……
 君には、告知しようと思う」

「告知?」


俺は、首を傾げた。


「君は、白血病だ。
 しかも重度のね……」


俺は、頭の中が真っ白になった。


「はっけつびょう?」

「ああ、そうだ……
 余命は、長くて3カ月……」


医師は、そう言って頷いた。

2010年11月1日。
27年目の誕生日を迎える日。
俺は、神様からとんでもないプレゼントをもらったのだ。


※この物語は、フィクションです。
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