SSブログ

小説:余命宣告 [余命宣告]

11月2日


頭の中で、まだ整理がついていない。
俺が死ぬ?
27歳で……?

早くないか?

俺にだって夢はある。
俺にだってやりたいことはある。


あと、3ヶ月?


俺がやりたいことは、3ヶ月では、終わらない。
3か月では、終われないんだ……


「亜金君、大丈夫?」


はるかさんが、心配そうに俺を見つめる。


「大丈夫……じゃないかな」


俺は、苦笑いするしかなかった。
はるかさんは、静かに俺の体を抱きしめました。


「泣きたかったら泣いてもいいんだからね!」


はるかさんが、小刻みに震えている。
鼻をすする音が聞こえる。

なんだ。
泣いているのは、はるかさんの方じゃないか……
俺の涙は、こぼれない。

ただ頭の中が真っ白になるだけだった。


「そうだ……
 亜金君!やりたいこととかない?」

「え?」

「私、何でもするから!」


本当に何でもしてくれるのかな……?
だったらキスとかでもしてくれるというのか?
いや、それは、ダメだ……
はるかさんの性格だ……
言えば、はるかさんは、きっとしてくれるだろう……
言ってしまえば、その時点で俺は、最低な人間になってしまう。


「遠慮しないでどんと言ってみなさい!」


はるかさんが、耳元でささやく。


「働きたい」

「え?」

「前みたいにはるかさんと働きたい……」


俺の涙が、自然と流れた。


「わかった。
 私に任せなさい」


はるかさんは、ギュっと俺を抱きしめる腕に力を入れた。
こうして、俺の闘病生活が始まるのであった。


明日へ続く。



※この物語は、フィクションです。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。